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経営者インタビューINTERVIEW

経営者インタビュー

【商社】シンガポールを拠点に世界へ日本のモノを届ける – 菱沼一郎

2019.08.23

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Asia Commonland Pte. Ltd.菱沼一郎 :
大手貿易会社で経験を積んだ後、日本で商社業を営む『菱沼貿易株式会社』を設立。その後海外に活動の拠点を広げるべくシンガポールで2012年に「Asia Commonland Pte. Ltd.」を設立。

20年以上商社マンとして経験を積んだ今もなお海外で活躍し続ける菱沼一郎さんに、「商社という仕事」「海外で仕事をするという事」、といったテーマでお話を伺ってきました。

菱沼貿易公式HP: http://www.hishinumatradinginc.com/

 

◇事業内容編

シンガポールという地理的なアドバンテージを活かし、日本の商材が世界に売れる仕組みを作る

—事業内容について教えてください。

商社です。商社と一口に言っても「輸入」をメインにしている会社から「輸出」をメインで行う会社といったように様々なタイプがありますが、シンガポールを活動の拠点にしている『Asia Commonland』では「輸入」を中心に行っています。

―なぜ「シンガポール」という国を選択されたのでしょうか。

「会社を作りやすい」、「生活がしやすい」といった現実的な面で優れているということに加え、「貿易」という仕事柄、シンガポールという国が地理的にハブになっているというのが大きな要因でした。地理的なアドバンテージを活かし、日本では菱沼貿易が日本の中小企業の窓口して、シンガポールではAsia Commonlandがシンガポールのローカル会社と一緒に、彼らのコネクションを使って世界に販売していくような形態をとっています。

―今取り組んでいるお仕事を一つ教えてください。

今関わっているもので言いますと、日本の建材をシンガポールの建設会社に販売するプロジェクトに取り組んでいます。建設には建物の「オーナー」、それを「設計する人」、それを「建てる人」、これら三つの関係者が携わります。

今弊社でやっているのは「設計する人」である「設計会社」と組んで、その設計会社が、私達が提案する日本のデザイン性の高い建材を設計の図面に入れてもらえるよう営業しています。建築の案件は最終的にゼネコンに卸すのですが、そうすると日本の建材が売れる仕組みができあがります

シンガポールの設計会社は中国を含め、ASEAN各地に色々な物件を持っていますので、先ほどの取り組みがうまくいくと、結果的に上述したような様々な国々の建物に日本の建材が使われ、売れることになります。

 

商社というのは人との信頼があって初めて成り立つ商売

—菱沼さんの会社は「人」を非常に重要視している組織であるという印象を受けたのですが、「人との関わり」といったことについては日々重視している事なのでしょうか。

はい、私達の仕事において大切なのは人のつながりであって、モノの品質という面ではあまり差別化できないんです。モノ自体はよくて当たり前という時代になってきていますので、だからこそ「誰」と「どういうビジネス」をするかといった点が重要だと考えています

 

商品が多岐に渡るのは「ひとりひとりのお客様の問題」を解決しているから

—菱沼貿易では扱っている商品を一つに絞らず様々な商材を扱っていますが、なぜこのような形態なのでしょうか。

「お客様のお困りごとを解決する」というスタイルをとっているからです。お客様の依頼に合わせて商社としての価値を提供しているので、結果的に扱う商品の種類が多岐に渡っています。

例えばお客様から「品質問題を起こしたから困っていて、もっといい商品があれば紹介して欲しい」という依頼があったら、私達はそれを解決してあげる、ということをやっています。

—ではこれだけ長く商社事業を生業とされている菱沼さんでも、未だに今まで扱ったことのない商品の依頼が来ることがあるのでしょうか?

たくさんあります。一般的に商社というのは(総合商社は別にして)、食品なら食品、建材なら建材といったように特化する分野を決めますが私達はそうではありません。もちろん扱う商品を限って事業するメリットもありますが、弊社のような形態をとったことによって、ただ単にものを買ったり売ったりすることではなく、「問題を解決していく」ことに感謝されているビジネスとなっています。

 

◇海外進出編

「海外に行かないという選択がリスクになることもある」

—これから海外に進出したいと考えている若者にメッセージを送るとしたらどんな言葉を投げかけますか。

やるビジネスによって国を選ぶべきだし、シンガポールにこだわる必要性はありませんが、現代は本当にボーダレスで、日本の規模だけで問題の解決ができなくなってきている時代であることは間違いありません。ビジネスの場を日本だけではなく世界的な規模で考える広い視野を持ってやっていかなければいけなくなっているし、そうなってほしいと個人的には感じています。あとは単純に海外でビジネスをする方が楽しいですよ。

—もし海外に行きたいと思っているけど、漠然とした不安から行かないという若者がいたら背中を押しますか。

海外に出ることが常にベストな選択肢であるとは言いませんが、何を選択するにしても「不安」は常に存在します。また同時に「海外に行かないことにより生じるリスクがある」というのも考慮に入れるべきだと思います。

例えば給与という観点で見てみると、先進7か国の給料が1.6倍になっている一方で、日本の給料水準が変わってませんよね。社会保障や年金など、その他さまざまな問題について考慮すると、むしろ日本に留まり続けること自体がハイリスクという考え方もできますので、悩んでいる人は積極的に挑戦して欲しい、と個人的には思います。

 

◇会計編

商社歴20年以上の現役商社マンが会計事務所に求めるものとは

—最後に、会計事務所に求めることはずばり何でしょうか。

あえて言うとすると、「会計以外の部分」ですかね。会計業務はある意味では「事後処理」と言うことができるかと思いますが、一方でその企業がどのようにすれば躍進できるかと言った「未来に向けたアドバイス」、財務的なアドバイスや戦略的なアドバイスをしてくれる会計事務所があると嬉しい、と個人でビジネスをやっている身としては感じます。

 

「会計」の知識がない人は商売できない

—商社マンとして、会計の知識が必要に感じることはありますか。

もちろんあります。言ってしまうと「決算書が読めない人は商売ができない」とも思っているので、弊社に入社していただいた人材にはどんな業務につく人も基本的には最低簿記3級を取得してもらうようにしています。

一般的な大手の商社では、新入社員の頃は、簿記と法律、貿易を入社3年以内に勉強し、社内の資格を取らないといけません。企業の通信簿ともいえる決算書の数字の成り立ちやお金の流れを全く分からない人が営業したとしても、なかなかいい営業はできないと考えます。

 

【目指せ梅酒売上高世界1】海外の生活シーンに沿ったスタイルで日本の文化を提供する

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—今、『Asia Commonland』で扱っているお勧めの商品を教えてください。

梅酒です。日本の文化である梅酒ですが、輸出量世界一位を目指して頑張っています。

—梅酒を飲む文化そのものを広めていく必要がありそうですね。

そもそもシンガポールでは食中にお酒を飲む文化がありません。ただ、イベントを開催した時などは意外と現地の方に買っていただけることに気づき、そういったお客様達にヒアリングを行ってみた所、「食後」に楽しんだり、「友達へのプレゼント」として買われている方が多いことを知りました。ですので、そういった用途で楽しんでいただけるように提案しています。他にも、例えばヨーロッパなどでは食前酒を飲む文化が盛んですが、そういった需要がありそうな海外の文化・シーンに合わせて販売していこうと考えています

—いつの日か世界で、「梅酒といったら菱沼さんの扱うブランド」と呼ばれる日が来るのを楽しみにしています。長時間にわたるインタビュー、どうもありがとうございました!

菱沼貿易についてはこちらhttp://www.hishinumatradinginc.com/

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