会計基準が実務に影響を与えるか?
2015.01.15
シンガポール諸制度(会計、セクレタリー等
今日はちょっと会計っぽいお話です。
IFRSも同様ですが、最近、シンガポールの連結会計基準FRS110というものが改正されました(2014年1月以降強制適用されています)。
そこで、連結する子会社を決める支配の概念が変わり、これまで持分法で処理していたREIT受益権について、50%超の持分を保有していなくても、「支配」しているのであれば連結しなければならなくなり、多くのREITのスポンサーがこれに該当し、ROAの低下、負債資本比率の悪化を招くとして大きな波紋を呼んでいました。
しかしいざふたを開けてみると、「あんまり影響ないやん!」ということで、「会計基準が実務に影響するもなさそうだ。」という落としどころになっているようです。しかしCapitalandやFrasersなんかは複数(それぞれ3つずつ)のREITを連結し、若干ながら上記指標は悪化したようです。
ちょっと横道に逸れますが、会計基準が実務に影響を与えるといえば、最近では「のれん」の費用計上をどうするか、という話がありますね。日本基準は償却、IFRSは非償却なので、ガンガンM&Aする会社はIFRS採用するとPLが良く見える、というアレです。
私は随分昔から言ってますが、「のれん」は償却すべきだと思います。償却しないとずーーーと資産で残って、いざ損失計上する時はズドーーーンと莫大な損失計上となるので、市場が混乱するからです。M&Aをガシガシやって「のれん」を費用計上せずにどんどん資産に積み上げてPLを良く見せて短距離走をぶっちぎりる「PLを良く見せたい、決算書を作る側」の都合の良い基準だと思いますIFRSの非償却は。
会計基準によってM&Aするかしないか決めるというのもナンセンスだとお思いますし、会計基準によってM&Aするかしないか決めるような会社はそもそも危ういとすら思います。