シンガポール法人の清算(Strike off)
2015.11.07
シンガポール諸制度(会計、セクレタリー等
シンガポールも栄枯盛衰。進出企業もあれば撤退企業もあります。我々業者はどちらかというと「進出案件」の方がお仕事になりますし、進出の方が華やかなので、進出案件にスポットが照てられがちです。進出は人に言いたいけど撤退は言いたくない、というのもあるでしょう。
しかし、まことしやかに「撤退」の話も多いです。中には予定通りの会社清算というケースもありますが、弊社も少なからず撤退のお手伝いもやっていまして、現在も複数件進行中です。会社清算にもいくつか方法がありますが、一番シンプルで簡素なのがStrike Offです。清算の一つの方法ではありますが、ニュアンスとしては「法人登記抹消」の方が正しいかと思います。
Strike offの申請後、ACRAが事情を鑑みて登記抹消の承認可否を決定しますが、Strike off 申請をするためには下記のような条件を揃えなければなりません。ただし、これらは申請するための条件で、これが揃って申請してようやくACRA審査の土台にのるといっていいでしょう。
・事業を中止、もしくは元から事業をしていないこと
・IRASへの納税や税務申告義務、CPFBへのCPF申告支払いなどが全て完了していること
・各種政府監督官庁への債務(借入れなど)がないこと
・担保に供されている資産(charge)がないこと
・国内外を問わず訴訟の当事者になっていないこと
・過半の株主の同意があること
・全ての資産負債をゼロにすること、資産負債が残る場合でもその処分方法が確定していること
・事業中止日のゼロBSを作成すること
となっています。法人設立から休眠のままだった会社を登記抹消をするには上記に加え、下記の三点を明記してACRAに申請します。
・法人設立時から事業を行っていないこと
・銀行口座を開設していない、もしくは閉鎖したこと
・定時株主総会を開催していない、もしくは第1回の定時株主総会の期限が到来していないこと
スケジュール的には、Strike offの申請を行ってACRAにより承認されると、シンガポール政府内での情報共有を行い何もなければ1か月後に初回公告( First Gazette Notification)にかけられます。初回公告をかけ3か月経過して何もなければ最終公告(Final Gazette Notification)にかけられて法人登記抹消が完了します。
ですので、Strike off手続き自体に要する時間はおおむね5か月ですが、あくまでStrike off申請をしてから5か月です。実際には申請する前に銀行口座を閉鎖したり、ゼロBSを作成したりと色々とやることがありますので、本当に休眠で今すぐ銀行口座を閉鎖できるし外部との契約も無い、という状況であっても少なくとも6か月は必要、と思っていただいてよいかと思います。
概要こちら