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PICスキーム不正受給

2015.10.29

シンガポールの税金(法人税、GST、個人所得税、優遇税制など)

このブログで繰り返し使っている表現ですが、シンガポールは国土が狭く、外国からの人材流入も多い(現時点では)ため、いかに生産性を高めるか、つまり「少ない人数を保ちながらいかに儲けを最大化にするか」というのが国全体で問われています。人が増え過ぎると不動産高騰や交通渋滞などの問題に、所得の低い外国人が増えると治安の悪化などの問題に派生するためです。


そこでシンガポール政府は、「企業が労働力を増やさずに儲けを増やすようなことにお金を使った場合」に補助金を出しています。PIC(Productivity and Innovation Credit Scheme)と言いますが、例えばパソコン買った費用(紙で書いたりするよりも生産性高い)、ECサイトの開発費用(営業社員が要らない)、自動調理機械(調理士が要らない)などなど、数多くの企業の支出に60%の補助金を出しています(シンガポール人等を3人雇用などの条件あり)。弊社もお客様の代わりに申請することもあります。

 


100万円使ったらもれなくシンガポール政府から60万円もらえる。いってみればそういう制度なので、当然ながら悪い奴らが悪巧みを考えるので、シンガポールの税務署がこれを調査し摘発し処罰する例が相次いでいます。

 

今回のケースでは、コンピューター機器の販売会社が虚偽の申告をして2万ドル超(200万円程度)の補助金を受けようとしたとして、その会社と取締役が罰せられました。虚偽の内容は、5人の従業員がソフトウェアシステムを開発したとして人件費見合いを申請したがそんなソフトウェア開発なんて存在せず、5人の従業員も開発に時間なんて使っていなかった、というものです。

 

会社は罰金$46,321.20(400万円ぐらい)を命じられました。不正受給しようとした金額の2倍と罰金の$2,500が内訳です。個人的には優し過ぎ。$100,000ぐらい科してもいいと思います。これだと不正申告3回やって1回通ればプラスになっちゃいます。期待値高過ぎですね。

 

と、思って記事を読み進めてみると、どうやらそれを主導した取締役にも同額の罰金が言い渡されているようです。会社罰金分と合わせて不正申告の4倍強なので、まあいいところかなと思います。

 

PIC不正受給として多いケースは、今回のような捏造や費用割増、それから現地人3人雇用条件の形式的具備(!)、受給のための売上割増(400%損金算入のための法人税捻出だと思います)だそうです。PICの不正受給については、最大で不正受給額の4倍の罰金及び(もしくは)5年の懲役となるようです。

 
現地人3人雇用条件の形式的具備とかダメなので気を付けてくださいね。

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