シンガポール監査新基準が「不適切会計」を防ぐ?
2015.08.04
シンガポール諸制度(会計、セクレタリー等
おはようございます。
シンガポールの監査に新たな制度が導入されます。
監査報告書に「KAM (Key Audit Matter)」という、「この会社の決算書で特に注意すべき領域」を監査報告書に記載する義務、それからGC注記(継続企業、ゴーイングコンサーン)をさらに拡大させるというものです。
どうでもいいですが、個人的にKAMといえばKPMG Audit Manual、、、懐かしいです。
さて、今回の新基準のKAMですが、従来の「決算書が正しいか正しくないか」という、YES/NOしか無かった監査意見に補足情報を加えるもので、例えば東芝の「不適切」会計で話題になった工事進行基準の見積りなど、特に「評価」に関する注意喚起を監査報告書に記載することを求めるようです。
この新基準、「シンガポールの監査法人が監査している上場しているシンガポール法人で、特定業種の会社のみ」が対象になるようで、シンガポール以外の監査法人が監査している場合は今のところ対象外とされています(EY香港が監査しているNobleなど)。
GC注記の拡大は、従来は会社の継続性に重要な疑義がある場合に注記していたところ、その傾向や兆候について経営者の見解も含めて「重要な疑義」が生じる一歩手前での開示を求めるようになる模様(私の解釈)。
2016年12月15日以降の決算日に係る監査から対象になるそうです。
監査基準って、基本的に厳しくなる方向にしか進まないので、作業もストレスも年々重なっていって大変ですよね。痴漢とか社内規定違反で代表理事辞任とか、まあ色々と日本国内では事件もありますが、市場とクライアントと規制当局との間に挟まれて監査はとってもストレスフルです。監査業界は「楽しく仕事する」ということからはかけ離れている業界ですが、会計士ももっと人生楽しく過ごして欲しいもんですね( ̄ー ̄)