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経営者インタビューINTERVIEW

経営者インタビュー

【グローバルアウトソーサー支援】グローバルアウトソーシング企業とグローバル顧客ローカルオフィスの結びつきを深める―貞許健治

2020.01.31

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Heart Forever Pte. Ltd. 代表:貞許健治

大手会計系コンサルファームで経営コンサルタントとしての経験を培った後、2006年に日本で経営コンサルティングサービスを提供する『ハートフォーエバー株式会社』を設立。その後2013年にグローバルに事業を展開するべくシンガポールに拠点を持つ『Heart Forever Pte. Ltd.』を設立。国内向けサービスを提供してきた彼が世界にビジネスの幅を広げていくまでに至った経緯を伺う中で、グローバルで活躍する経営者としての哲学を探ってきました。

Heart Forever Pte. Ltd.公式HP:http://heartfor.com/

 

世界各地にオフィスを構えるグローバル企業ならではの「アウトソース先を各国で探す」という負担を軽減する

◇事業内容編

―事業内容について教えてください。

現在は主に日本法人である『ハートフォーエバー株式会社』と、それからシンガポール法人である『HEART FOREVER PTE. LTD.』の代表を務め、日々サービス提供を行っています。日本法人は事業戦略立案や事業計画の作成を始めとして「業務プロセスの改善・改革」という、いわゆる「経営コンサルティング」を提供してきた会社です。

一方でシンガポール法人の『HEART FOREVER PTE. LTD.』は、「グローバルアウトソーシング企業とグローバル顧客のローカルオフィスの業務と情報システムの橋渡し」を請け負っている会社です。具体的なアウトソース内容は「会計や人事・給与計算」に関わる領域で、アウトソーシング企業側のグローバルシステムやグローバル標準の業務プロセスと、その顧客側のグローバルシステムやグローバル標準の業務プロセスの連携支援です。特に現在弊社で主にお付き合いしているのは欧州系のグローバルアウトソーシング企業とその顧客である欧米のグローバル企業です。

―具体的にはどういったサービス内容ですか。

世界各地にローカルオフィスを構えるグローバル企業は、当然、母国本社で定められたやり方に則って、グローバル標準の情報システムで業務を遂行しなければなりませんが、一方で各国のコンプライアンス・レギュレーションや慣習・規程に従ってビジネスをする必要性も出てきます。しかしながら、名の知れたグローバル企業といえども、各ローカルオフィスでは十分な間接部門の人員を確保できないケースがたくさんあります。特に、日本の内需市場が徐々に縮小する中で、間接部門をいち早く縮小して香港・上海・シンガポールなどへ地域統括機能を再編したり、グローバル本社に集約するケースも増えてきています。

そんな中で、「グローバルの要求」と「ローカルの要求」のギャップを埋める為の、情報システムと業務プロセスの設計やツールの開発、運用支援を行っているのが当社です

ローカルの事業規模が十分に大きい会社でしたらSAPなどのグローバルERPをローカルオフィスでも展開したりしますが、グローバルに展開する大企業でありながらもローカルオフィスのサイズが小さいグローバルファームでは、そういったERPのローカル展開はせず、業務もシステムもアウトソーシングしてしまって、結果だけを本社にデータとして送るだけの企業も実はたくさんあるんですよね。アウトソーシング会社側のローカルオフィスでも、規模の小さなお客様向けには、ローカルベンダーの給与計算システムや会計システム、例えば日本だと奉行やOBIC7などのパッケージシステムを用いるケースもあります。そういったお客様には、グローバルシステムとローカルシステムとの連携ツールなどを開発し、提供しています。

 

―お客様からすると、世界各地でアウトソース先を探すのではなく、一括で頼めるグローバルアウトソーシング会社を利用するのは楽ですが、しっかりとローカル対応もしてくれるというのは必須の条件になりますね。

はい、顧客側のグローバルアカウンティング部門、グローバルHR/ペイロールチーム部門からすると、「一括で丸投げしたい」、「同じフォーマットで成果物をあげて欲しい」、「英語ベースでやり取りして欲しい」というニーズは強いですし、一方でローカルオフィス側では、「あまり本社のやり方に合わせすぎると業務が回らない」、「日本のルールに抵触する」とか、「そもそも会計、人事担当者がローカルオフィスにいない」といった悩みが出てきますので、そこが当社の支援する領域になります。

―グローバル企業といえどもローカルオフィスのスタッフだけでは対処できない諸問題が多く存在するんですね。

そうですね。グローバルアウトソーシング会社側にも日本の会計士や税理士、社労士などが所属しているわけですが、ローカルと「本当の意味でのリンク」は課題だったりします。顧客側のグローバル本社の人たちとやり取りするだけでなく、昨今では、インドなどのITチームとも実務的な細かいやり取りを継続的に行う必要があります。「会計・人事などの専門領域×IT×英語対応」というリエゾンはますます必要性が高まって来ていますね

 

―では純粋な意味でのコンサル以上にシステム的なサービスも提供しているのですね。

はい、コンサルだけでなく、ローカルのシステムとグローバルのシステムをダイレクトにつなぎ込み出来るデータ変換や処理の自動化ツールを開発する、といったこともやっています。

 

きっかけは「絶対に海外に出るべき」という大先輩の一言

―仕事をしている中で感じる難しさはどのような点ですか。

特に「コミュニケーション」の部分です。現在のお客様においては、インドのソリューションセンターとシンガポールにITチームがいて、本社のグローバルスタッフはロンドンとニューヨーク、ローカルスタッフはもちろん日本ですが、さらに事務センターが上海といった状況もありますが、世界各地に関係者が散っているこのような形態の中でプロジェクトマネージメントしていく必要がありますので、「適切なコミュニケーションをとる」ことの大切さ、同時に難しさを感じることも多いです。

 

―貞許さんご自身が影響を受けた人はいますか。

光通信時代の当時CFOだった上司がバリバリと英語で世界を相手に交渉していた姿などはグローバルで仕事をする最初の憧れになったと思います。またアンサー・アンダーセンに勤めていた時のAPACの代表を務めていた大先輩は、私の結婚式で来賓として来てくれた際、妻と私に「絶対に海外に出なきゃだめよ」という話をされて、その言葉にはかなり影響を受けました。加えて、海外の日本人起業家ネットワークである和僑会やWAOJEのファウンダーである筒井さんには、シンガポールへの進出を本格化する前後にお会いした事もありかなり背中を押して頂きました。

 

シンガポールを選んだ理由は「地理・言語・CPAコンシェルジュ」

◇シンガポール進出編

―貞許さんご自身のこれまでのキャリアについてお聞かせください。

一番最初に入ったのは、『株式会社光通信』という、いわゆる営業系の会社です。そこで一年半、前述のCFOの秘書や、財務系の仕事をやっていました。そのあとは、アーサー・アンダーセンに転職しました。そこでは経営コンサルティング業務として組織再編とか事業再編、事業改革など業務プロセスを分析して改革するという仕事をしました。そこから2006年に会社を作り、2007年から本格的に始動、今に至る、という形になります。

 

―なぜ、拠点としてシンガポールを選ばれたのでしょうか。

元々はアジアに進出している日系企業向けにコンサルティングサービスを提供したいという気持ちから、シンガポールに通い始めたのが始まりです。香港に対して、シンガポールはより東南アジアに進出している日系メーカーさんや物流会社のオペレーション統括ハブが多かったことから仕事の機会が多そうという意味で興味を持ちました。二つ目は、『言語の面』で中国語がなくてもビジネスできるという意味で香港より魅力に感じたこと、そして三点目は『CPA Concierge』の萱場さんがいたということです。萱場さんの前職が、私の主要顧客であるグローバルアウトソーシング会社で、萱場さんとも仕事をご一緒する機会がありました。シンガポールにダイナミックな仕事があるということを間近で見て認識してきましたし、また萱場さんを始めシンガポールに赴任していた知り合いが多く、比較的人の繋がりが強いという点でシンガポールに決めました。

 

―今、関心があることはなんですか。

「イギリスのEU離脱」です。EU離脱がほぼ確定しているので、今後より自由にビジネスができるという意味で、ビジネスチャンスを感じています。真のビジネスのグローバル化がどんどん加速するきっかけになると思います。

※(筆者注)インタビューを行った2019年11月時点でイギリスはEU加盟国

 

―趣味はありますか。

ジョギング・マラソンです。海外に出ることを志した2011年から2019年現在までに15,000㎞を走ったことになります。特にここ七年間は毎月150㎞を走っていて、ちょうど連続で達成した月としては84か月目となります。

―すごいですね!そこまで貞許さんを魅了してしまうジョギングの魅力とはなんでしょう。

シンガポールは暑くて湿度の高いですが、案外、海風もありますし、日本の夏ほどは気温が上がらないので走っていて非常に気持ちがいい国です。また、観光地のど真ん中を走るという面白さもあります。地元のランニングサークルに参加し、一緒に走ったり、ランニングイベントやその他のイベント、レストランなどの情報なども共有しながら楽しんでできるので、そういう仲間がいると続けたくなりますね。

 

◇会計事務所編

―ずばり貞許さんが会計事務所に求めるものはなんですか。

『Heart Forever Pte. Ltd.』のような個人で運営している会社にとっては専門家をたくさん抱えているわけではないので、EPや税務関連の手続きや最新情報を適切なタイミングでアドバイスしてくれるだけでなく、シンガポールのローカル生活情報、日系企業の動向といった、痒いところに手が行き届くような情報提供は非常に助かります

 

―大企業で培った経営コンサルタントとしてのスキルを武器に世界で事業を展開する貞許さん、長時間にわたって貴重なお話しをしていただき、どうもありがとうございました!

Heart Forever Pte. Ltd.に興味を持たれたという方はこちら。http://heartfor.com/

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