富裕層優遇型の税制と国の経済
2014.12.22
シンガポールの税金(法人税、GST、個人所得税、優遇税制など)
去年だったでしょうか、日本で「孫への教育目的の贈与が一定非課税」という制度ができましたが、来年度の税制改正で「子や孫の結婚・出産のための贈与非課税」という制度が導入される見込みのようです。
教育贈与非課税にしろ、結婚・出産のための贈与非課税にしろ、ある意味「富裕層の節税手段と少子高齢化対策のマッチアップ」な制度で、これは大いに賛成するところです。
残念ながら日本は、北欧諸国やシンガポールのように、「税金がきっちり国民のために使われているので税金を払うのに文句は無いし、増税もやむなし」という状況になく、日本の税金はかなりの部分で無駄に使われているといわれているなか、こうやって「節税手段が直接的に日本の課題を解決する方向に向かう税制」の整備は非常に良いと思います。
例えば民間の保育園事業の利益や保育園事業への投資に係る所得は免税、ベビーシッター福利厚生費は400%損金算入とか、子供の数に応じて所得税の累進税率を下げるとか、そういった施策は非常に良いかと思います。特に子供の数に応じて累進税率下げるのは少子高齢化対策に非常に効果があると思いますがどうでしょう?
しかしこれらの制度は正直、富裕層優遇の制度に近いので、たとえ富裕層優遇が国の経済力を押し上げる効果がある(この前提は議論ありですが)としても、これらのマニフェストを掲げると選挙で勝てないでしょうね。「国全体の経済を活性化させるためのマニフェストを掲げると何故か当選できない選挙制度」であるともいえます。
そう考えると、一人一票という選挙権を資産残高や所得で割り当てるような、ある意味株式会社の議決権制度に近い制度に変えると面白いかもしれません。そうなると人権問題など、過去の人類の悲惨な歴史が繰り返されてしまうのかもしれませんが、人口数百万人程度の小国や経済特区でやってみるのも面白いかもしれませんね。テロや戦争の回避等は憲法などで固めておいて。
シンガポールは国の課題を解決する民間の行動について、極端に優遇する制度が多くあり、かつ富裕層にも優しい税制をもっていますが、これも一党独裁のメリットといえるでしょうね。民意を反映しようがしまいが、純粋に長期的な国の経済力を戦略的に考えて決められるともいえますが、逆もしかりで諸刃の剣ともいえます。