日本は富の源泉が空洞化してきている
2016.01.18
ビジネス会計人
先ほど、東洋経済の「節税大百科」をkindleで買ってみました。
まだ中身は読んでませんが、まあ相変わらず日本はどうやって海外脱出する富裕層を止めるか、というか、脱出してもいかに追いかけて課税するかということしか考えていませんね。
国外財産調書提出義務(海外に5,000万円超の資産があると「海外に5,000万円超持ってます」と言う義務がある)とか、出国税(海外移住する際に、まだ売ってもいない大きい金額の株を売ったものとして売却益に課税される)とか。これからもそういうのが増えるでしょう。今は5,000万円の国外財産調書提出義務も、今後は金額が小さくなったり、居住地ではなく日本国籍で課税するもの(現状、相続税や贈与税がすでにそう)がそのうち増えて、これまで海外に5,000万円超あっても基本的に「課税されるわけではなかった」ものが、突然課税されるような資産課税の制度ができて、その際の網羅性を確保するための伏線でしょう国外財産調書って。相続税の親子5年5年基準も長くなるでしょう(短くなることはないでしょう)ね。
海外、特にシンガポールみたいなタックスヘイブン国で豊かな国に暮らしていると、日本人界隈だけでも富裕層がゴロゴロいるなあと実感することが多いです。特に「場所に縛られない商売」をしている人や、自分が現場に居なくてももう誰かが現場を回しているような富裕層が日本に留まる理由はあまりないことが多いです。シンガポールで個人秘書みたいな人を雇って身の回りの英語の世話をしてもらっている人もいますし、そうでなくても英語ができなくてもまあまあ普通に暮らせます。
これまで多額の税金を日本に払ってきた彼らが口を揃えるのは「儲かっても半分持っていかれるなんてやる気無くなるよね。まともに使ってくれるならまだしも。」ということです。
「海外に逃亡する富裕層」というような、富裕層を非難するようなメディアの報道も多いですが、海外脱出する富裕層にいかに課税するかという事ばかり考えていると、拒絶反応でどんどん逃げていくのは至極当然の流れですよね。これまでのような大きな経済成長が見込めない日本で、しかも儲かっても大きなショバ代をとられる日本ですから、儲ける能力のある人が日本から少しずつ居なくなってきてます。移住するのに、そして商売をするのに、国境や言語はかつてほどの障壁にはならなくなってきてますから、日本の「富の源泉」が徐々にそして確実に空洞化してきているように思います。
長くなりそうなので今日はとりあえずこのへんで。