2016年予算案(≒税制改正)が国会へ提出
2016.03.25
シンガポールの税金(法人税、GST、個人所得税、優遇税制など)
昨日、今年のシンガポールの2016年予算案(≒税制改正)が国会に提出されました。去年は少し細かく書いてしまいましたが今年はなるべくコンパクトに、日系企業もしくは日本人に影響が比較的大きく、そして自分の興味がある部分だけまとめてみます。シンガポール人個人や大企業のみに影響が大きいものなどは取り上げません。早速どうぞ!
■ただでさえ安い法人税について、2014年に決算日のある決算期まで法人税が30%割引(要するに法人税率17%が11.9%だったイメージ)だったところ、2015年、2016年に決算日のある決算期の法人税率は50%割引(同様に8.5%のイメージ)となりました。すでに過去になっている2015年3月や12月の決算で大きく利益が出た企業には朗報です。
■ついにPICの60%補助金が縮小です。400%損金算入と60%補助金を選択できたPICですが、400%損金算入はそのままで補助金選択の場合は60%から40%に大幅に減額。2016年8月1日以降の発生費用に適用されます。これまで400%損金算入と60%補助金を法人税率17%で計算すると、すぐキャッシュで返ってくる分、補助金選択の方が「ちょっとだけ」不利だったところ、補助金選択の方が「かなり」不利になるので、400%損金算入を選択する企業が増えることになりそうです。
先日の私の予想ではPICはもっと大幅な改正があると思っていましたが補助金の減額だけが今回の改正となりました。ちなみに今後延期されるかどうかは置いておいてとりあえずはYA2018まで(一番遅くて2017年12月31日決算)が対象で、2018年1月以降は適用されないということになってますのでご注意を。ちなみに2016年8月から紙での申告は不可、電子申告必須となります。
■PIC縮小の代わりかどうか分かりませんが、自動化を進める投資については新たな制度が導入されます。スプリングシンガポールからの補助金や追加での100%損金算入、政府の融資枠拡大や海外市場進出補助など、詳細は後日、とのこと。また、ロボット産業、特に介護や建設、製造業、それから物流業の効率化を進めるロボット産業についてはさらなる予算を割いて効率化社会を目指すとのこと。
■いまだに紙でも認められていた法人税申告がついに電子申告のみとなります。YA2018が売上10ミリオン超の会社等(支店なども含む)、YA2019が売上それ以下1ミリオン超の会社等、YA2020が全ての会社等が電子申告必須となります。素晴らしい!
■いわゆるキャピタルゲイン非課税制度は2017年5月までとされていたところ、2022年5月まで延長。国際化費用の200%損金算入も2020年3月まで延長。
■知財を買った際の税務償却期間は5年と定められていたところ、償却期間を5年、10年、15年から選択できるようになります(YA2017、つまり2016年1月以降に買った知財はすでに対象)。また、関係会社等で売買した時は市場価格でやりなさいとなっていたところ、第三者間でも市場価格しか損金算入を認めないということになりそうです(詳細が分かりませんがたぶんそういうことだと思います)。
■税制ではないところでは、政府の補助金などを一気通貫で調べられる政府管理のポータルサイトを第2四半期までにローンチする予定、起業家がよりよいメンターやVCとマッチングできるようサポート、それからジュロンウェストを新たなイノベーション開発地区とし、調査機関や学生、起業家などが集積する新エリアにするなどなどに注目。
金融セクターや保険、海運などの特定セクターやM&Aや国際取引などの大企業系、それからシンガポール人優遇の制度、子育てやお年寄り、低所得者優遇制度などは取り上げてませんのであしからず。もう少し細かく調べてお知らせしたかったんですが外出時間が迫っておりとりあえずこんなところで。