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2018年シンガポール税制改正

2018.02.21

シンガポールの税金(法人税、GST、個人所得税、優遇税制など)

今週月曜日2018年2月19日に、2018年のシンガポール予算(=税制改正)が発表されましたね。主要なもの、私が興味ある分野を中心に見ていきましょう。

 

 

■GST増税

一番注目されていたGST増税は時期を見送られましたが、現行の7%から2%増税して9%とする計画が発表されました。2021年から2025年の前半にかけて増税の予定とのこと。

 

 

次の総選挙が2021年前までに、とされていますので、現政権下では(与党の公約でGST増税しないと言っていたのもあってか)事実上GST増税は見送りとされています。ついでに、現行では年間売上1ミリオンシンガポールドルがGST登録義務とされているところ、例えば500,000㌦に下げることや、大企業には毎月のGST申告納付義務を課すことも検討しているとのこと。

 

 

■スタートアップ免税&部分免税が縮小

なんと、法人設立後3年間のスタートアップ免税、その後の部分免税制度も縮小です。これまで零細個人企業では少なくとも設立後3年間は法人税ゼロ、というのが圧倒的多数だったところ、第1期でも課税所得がでれば法人税が出る、ということになります。

 

< スタートアップ免税>

– YA2019まで(現行)

はじめの100,000㌦:免税

次の200,000㌦:50%免税

 

–  YA2020以降

はじめの100,000㌦:75%免税

次の100,000㌦:50%免税

 

<部分免税>

– YA2019まで(現行)

はじめの10,000㌦:75%免税

次の290,000㌦:50%免税

 

–  YA2020以降

はじめの10,000㌦:75%免税

次の190,000㌦:50%免税

 

 

■PICに替わる制度

去年まで猛威を振るったPICに替わる制度の発表が期待されましたが、特に中小企業に直接インパクトがあるような代替制度はなさそうです。新製品開発のためのR&D損金算入が150%から250%に増額、知財の登記費用や専門家報酬の250%損金算入やライセンス料費用200%損金算入など、自動化による生産性向上というよりは無形の財産で全世界から価値を集める方向にシフトしたようです。PIC乱用やPICを利用した新手の商売が横行したり、商品価格を歪めることもありましたので、まあこれは妥当なところですね。

 

 

■ネットフリックス税

日本でいうアマゾン税(外国企業が日本へ電子書籍など販売する場合などの消費税課税)のシンガポール版で、シンガポールではネットフリックスタックス(外国企業がシンガポールへ電子書籍など販売する場合などのGST課税)とも呼んでいるようですが、2020年1月から導入とのことです。

 

 

日本と同様、BtoBはリバースチャージ制度、BtoCはGST登録制度となるようですが、BtoBの「B」は、シンガポール国内でGST登録会社を指し、GST未登録会社の場合は「C」となる点には注意が必要です。また、BtoCのGST登録義務のある外国法人(例えば日本法人がシンガポールに電子書籍を販売する場合など)は、全世界の売上1ミリオンかつシンガポール国内のBtoCのEコマース売上が100,000㌦超の会社となるようです。

 

 

■法人税の還付

2017年の国の財政が良好だったことにより、今年(YA2018)納める法人税は、税額計算の結果の40%割引(15,000㌦上限)となります。未使用PICの繰越しや、キャッシュペイアウト適用可能なPICをキャッシュペイアウト化してキャッシュ優先としたり、課税所得をある程度寄せられる余地のある法人はYA2018になるべく所得を出した方がよいかもしれません。

 

 

■たばこ税が増税

たばこ税が発表日に即日施行、という、いまや定番の即日施行増税が実行されました。今回は10%の増税。個人的には酒税増税は勘弁して欲しいですがたばこ税はガンガンいってもらいたいですね。

 

 

■メイド税が増税
住み込みメイドを雇用している場合、原則として毎月265㌦のメイド税が課せられていますが、2019年4月から300㌦に増税となります。

 

 

■その他の議論

UberやDeliverooなどの小銭稼ぎの個人が増えたため、これらの税務申告やCPF制度遵守の仕組みを確立しようという議論、中小企業の税務上の減価償却計算の簡素化やリノベーションコストの損金算入拡大の検討、ACRAに登記した決算情報から法人税申告計算をつなげるシステムの開発、欠損金の繰り戻し還付の拡充の検討、スタートアップ企業出資からのキャピタルゲイン非課税についてセーフハーバーの拡充検討、繰越欠損金の繰り越し要件である株主テストの微調整の検討、法人税率減税の実現性検討、米国との租税条約締約に向けて協議、国外源泉所得の着金時課税についてASEAN地域内源泉所得の完全非課税の検討、外国税額控除の繰越/繰り戻し制度の検討、先進的IT産業(オンライン決済/ブロックチェーン/クラウドコンピューティング/ビッグデータ/クラウドファンディングなど)への大幅なインセンティブの検討、

 

 

といったところでしょうか。

 

 

金融セクターなど他にも色々とありますが、上記参考になれば幸いです。

 

 

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