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GST登録すべきか否か

2016.01.16

シンガポールの税金(法人税、GST、個人所得税、優遇税制など)

最近、複数のお客様でGSTを登録するとかしないとかの議論が重なってまして、GSTについてちょっとおさらいしておこうと思います。

 
 
まず、日本の消費税との一番大きな違いは、

 

 

「invoiceを発行する企業がGST登録業者かどうかでGST課税するかが決まる」

 

 

ことでしょう。
A社がB社に100㌦の請求をした場合、A社がGST登録業者であれば7ドルのGSTを乗せて107㌦で請求しますし、A社がGST登録業者でなければ100㌦のままです。

 

 

では、GST登録業者となるのはどういう時かというと、

分かり易くいうと、

 


 
「過去1年もしくは今後1年で売上が1ミリオンドルを超えた(る)場合、それから任意でGST登録をした場合」

 

 

です。

 

 

任意でGST登録することもできますが、IRASからデポジットを求められることがあったり、2年間はGST登録業者を続けなければいけなかったり、そもそもIRASの審査&許可が必要というように一定の制限があります。

 

 

日本の消費税の世界をご存じの方だとお分かりいただけるかもしれませんが、要するに、GST登録業者となると日本の消費税のように、もらったGSTと払ったGSTとの差額を納付(or還付)することになりますが、GST登録業者でない場合は発行するinvoiceにGSTを乗せられないだけでなく、払ったGSTも取り戻せません。

 


ここまでがさらっと基本的な概要ですが、任意でGST登録ができることになっているので、さてGST登録するとトクするのかソンするのかという議論があります。

 

 

基本的に、自社がGST登録すると、例えばレストランでの飲食代やGST登録している各種業者などへ払ったGSTを、自社の得意先に転嫁できることになります。ですので損得だけで考えるとGST登録した方がお得です。例えば、200㌦(税込214㌦)の費用で300㌦の売上を作るビジネスの場合、GST登録していないと売上300㌦、費用214㌦で86㌦の利益ですが、GST登録すると請求額にGSTを乗せるので売上が税込みで321㌦になり、売上と費用のGST受け払い差額7ドルを納付して、売上300㌦、費用200㌦、利益が100㌦、というPLになるからです。

 

 

しかし、GSTの価格転嫁による価格競争力ということを考えなければいけません。

 

 

これを考えるには、得意先(=売り先、販売先)がGST登録業者かどうかというのが重要になってきます。得意先がGST登録業者である場合、得意先にGSTを請求しようがしまいが得意先の負担は変わりません。得意先としてはIRASにGST納付するのをこっちに払ってきているだけだからです。

 

 

一方、得意先がGST登録業者でなかったり、一般消費者である場合は別です。自社がGST登録業者となりGST(7%)を課税すると、得意先は彼らの得意先にGSTを転嫁できませんから、得意先としては単純にコスト増となってしまいます。一般消費者に販売する場合も同じです。

 

 

そう考えると、シンガポールのGSTの制度の世界では、一般消費者だけでなく、GST登録していない会社も「最終消費者」に含まれるといえます。

 

 

ですので、GSTを任意で登録するか否かの判断としては、

 

 

■使っている業者にGST登録業者が多い場合(GSTを多く払っている)や、自社の販売先としてGST登録業者が多い場合は、GST登録した方がトク

 

 

■使っている業者にGST登録業者が少ない場合(GSTをあまり払っていない)や、自社の販売先がGST登録業者でない会社もしくは一般消費者の場合はGST登録するとソン(価格競争力が落ちる)

 

 

ということがいえます。いざGST登録をしてGST申告・納付をしようとすると、経理の作業がかなり重くなるので、前者の場合ででも経理工数増加(会計事務所を使っているのであれば会計事務所費用増加)との兼ね合いは考えなければなりません。

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