シンガポール法人の銀行口座開設|必要書類・面談・期間の目安
最終更新日:2026年10月14日
公認会計士 萱場 玄
シンガポール法人の設立後、通常は銀行口座の開設を行います。実際に資金のやりとりをする銀行口座がなければ、資本金を払い込めず、EP(就労ビザ)の申請も事実上進みませんが、マネーロンダリングなどの事件を受けて、近年は世界中で銀行口座開設・維持のための審査が厳しくなっており、シンガポール進出スケジュールの中でも最も読みにくい工程といえます。
進出手続きの中での位置づけ
シンガポール進出の際の事業立ち上げは、大きく以下の流れとなります。本記事では「2.銀行口座開設」を取り扱いますが、支店や駐在員事務所のケース、進出時のみならず、すでに事業が行われている場合の2つ目の銀行口座開設の手続きも概ね同じ手続きといえるでしょう。
必要書類
銀行口座開設の際に銀行に提出する必要書類は銀行ごとに異なり、同じ銀行でも頻繁に変わります。銀行側の担当者によっても、会社の状況によっても変わることもあります。どのケースでも当てはまる共通の必要資料としては、株主、ダイレクター、口座の承認権者となる者(サイナー)のパスポート、EPなどの就労ビザ(保有している場合)、住所を証明する資料、といえるでしょう。
ただし、株主が法人の場合や株主構成が複雑な場合は、登記簿やその英訳といった追加資料が必要になることがありますし、事業内容の詳細や、株主の経歴、法人株主の場合は全体のストラクチャー図や株主名簿など、実際には極めてケースバイケースといえます。
誰が手続きをするか
一般的には、口座の承認権者(サイナー)に加えて、ダイレクター2名、またはダイレクター1名とカンパニーセクレタリーが銀行の窓口を訪れることになりますが、訪問が必須となる人の範囲も銀行によって(銀行担当者によっても)異なります。
訪問必須の人に日本在住者が含まれる場合は、本人がシンガポールに出張し、窓口で署名することになりますが、銀行によっては、Web会議での面談が認められます。
承認権者は、開設時は1名とし、開設後に増やすこともできますが、承認権者の増員時には口座開設時と同様の本人確認等が必要になると考えた方がよいでしょう。
審査は厳しくなっている
近年のマネーロンダリング事件を受けて、法人口座の審査は急速に厳しくなりました。何度も似たような質問を受け、複数の資料を提出を求められて手続きが長期化する例や、法人は設立したものの口座を開設できない例、それから一度口座を開設したものの銀行の定期検査の結果、口座維持を認められずに強制閉鎖される例も散見されます。
難易度は会社によって大きく異なるといえますが、どのようなケースでどのような点がポイントになる傾向があるのかは、会計事務所等の専門家にアドバイスを求めるのが保守的といえるでしょう。当然ながら、銀行に直接聞いてもポイントを教えてくれることはありませんし、一度ブラックリストに載ってしまうと金融機関同士で情報共有されてどの銀行でも口座開設できない、といった状況になる可能性もゼロではありません。
特に、法人設立直後に初めて銀行口座を開設する場合には、(ニワトリタマゴの議論ではありますが)事業が実際に行われていないため口座開設の難易度が高く、事業立ち上げのみならずビザのスケジュールにまで大きな影響を与えることになります。このため、シンガポール法人設立直後は、従来型の大手銀行ではなく、ネオバンクと呼ばれるオンライン専業の金融機関で口座を開くケースが増えています。
所要期間の目安
| 金融機関 | 開設までの目安 |
|---|---|
| ネオバンク | 1〜2週間 |
| 従来型の銀行 | 3週間〜数か月(場合によっては1年を超えることも) |
所要期間は状況によって大きく変わりますし、審査の結果、開設が認められないこともあります。立ち上げのスケジュールには十分な余裕を持たせることが推奨されます。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。
弊社では、法人設立から口座開設、EP申請までの立ち上げ一式を日本人担当者にて一括してサポートしています。事業内容や株主構成などの状況に応じて、過去の事例をもとに最善案にてご提案しております。