シンガポールにおける税務調査
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
シンガポールでは日本ほどには税務調査が一般的ではなく、頻度も少ないといえます。
これは、そもそも日本に比べて税率が低いため納税者側の節税インセンティブが低く、税務調査にかけるコストに比し徴収税額が限定的であること、日本に比べて税法が透明かつシンプルで論点や計算誤りが日本ほどには多くないこと、さらには、すべてのシンガポール法人等に原則として会計監査が義務付けられていることなど、複数の理由によります。
(1) 税務調査の方法
確定申告(Form C/C-S) が行われると,税務当局による調査・税額計算等が行われます(賦課課税制度)が、不明点や疑義がある場合には、会社の規模,複雑性,事業内容、期待される追徴税額などを総合的に勘案した上で、税務当局から納税者またはタックス・エージェントへ間い合わせが行われます。
税務調査は、書面・電話等での(実地調査を伴わない)調査が中心となりますが、まれに実地調査が行われる場合もあります。
実地調査が行われる場合、一般的には、税務当局から指定された日時に複数名の調査官が納税者を訪問し調査が行われますが、場合によっては事前通知無しの訪問も行われます。調査は通常1年以内(法人税の場合は2年以内)には完了し、完了後は、税務当局から書面又は面会により概要が伝えられ,必要あれば修正申告等を行うことになります。
(2) 調査対象期間
税務調査は、 個人所得税、GST、印紙税などの税目が対象となり,調査対象期間は法人税および個人所得税が4年,GSTは5年とされています。ただし、脱税等に対してはこの限りではありません。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。