短期滞在者(非居住者)の給与所得免税措置
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
日本などのシンガポール以外の国の居住者(≒シンガポールの非居住者)がシンガポール国内の労働の対価として給与所得を得る場合、原則として15%もしくは累進税率で計算した所得税のいずれか高い方の金額が課税(役員報酬や専門家報酬など、給与所得以外の所得は異なる)とされていますが、下記のような滞在日数に応じた免税措置が設けられています。
183日以上滞在の場合
この場合、シンガポール税法において基本的にシンガポールの居住者とされ、累進税率で課税されることになります。
ただし、シンガポール税法で居住者とされる場合であっても、他国、例えば日本で非居住者とされるか否かはその国の税法及びシンガポールとの租税条約によりますので注意が必要です。詳しくは「居住性 (シンガポール居住者か日本居住者か) の判定」をご参照ください。
滞在日数が暦年で61日~182日の場合
この場合、シンガポール国内税法では原則通り、15%もしくは累進税率で計算した所得税のいずれか高い方の金額が課税(役員報酬や専門家報酬など、給与所得以外の所得は異なる)とされますが、日星租税条約において、下記のすべてを満たす場合はシンガポールでは課税されないとされています。
- シンガポール滞在が、継続するいかなる12か月の期間においても合計183日を超えないこと
- その給与所得が日本の雇用者(≒会社)またはこれに代わる者から支払われていること
- その給与所得がシンガポールの恒久的施設(PE:Permanent Establishment)等によって負担されていないこと
つまり,出張中の給与などが日本の親会社等において支払われ,かつその給与等がシンガポール支店などへ付替えられていなければ,(人件費をシンガポールで損金計上していないため、個人の所得税を免税としても問題がないため)シンガポールでの給与所得は免税となる、ということになります。
滞在日数が暦年で60日以下の場合
この場合、シンガポール国内の労働の対価として得る給与所得はシンガポールでは免税(シンガポール国内税法)とされます。ただし、シンガポールでEPを保有しており海外出張のため、結果的に滞在日数が60日以下になったような場合は(外国滞在期間中もシンガポール滞在日数に含まれるため)適用ができません。
注意点
上記はあくまで給与所得にかかる所得税に関する取扱いであり、シンガポール居住者か否かという居住性の判定とも、事業登録義務や滞在・就労許可の問題とも異なり、あくまで「シンガポールにおける非居住者」が「合法」で「短期間のシンガポール滞在で給与所得を得た場合」の取り扱いとなりますので注意が必要です。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。