サービスカンパニーのみなし課税所得(5%)
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
シンガポール法人が、日本の親会社やその他のグループ会社等へ間接部門的なサービスを提供するために存在する場合、原則として移転価格税制の対象となり、独立企業間価格にてサービスを提供した先のグループ会社等へ請求をしなければなりません。しかしながら、独立企業間価格の算定は納税者側としても課税当局側としても困難を極めるため、一定の要件のもと、税務上は全てのコストに5%(マークアップ率)を加えた金額を課税所得とすることが認められています。このようなグループ内サービス提供会社を税務上、サービスカンパニーと呼びます。
適用要件
- 法務・会計・税務事務、ITサポート、人事事務、その他のバックオフィス事務など、移転価格税制ガイドラインAnnex Cに規定されているサービスであること
- グループ外の第三者へのサービス提供が無いこと
- 直接費・間接費問わず全てのコストを含めて5%の課税所得部分を算定すること
なお、独立企業間価格を基準としたマークアップ率が5%と異なる(低い)場合も、その根拠資料作成や継続適用などの条件をもとに認められます。
法人税の申告上は、5%部分を売上として通常の税務上の加減算を行う方式(NTC basis: “Normal Trading Company” Basis of Assessment)と、5%部分をそのまま課税所得とし税務上の加減算を行わない方式(CM basis: “Cost Plus Mark-Up” Basis of Assessment)が認められています。後者は5%が独立企業間価格であるなど一定の要件があります。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。