SDLの概要
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
SDL(Skills Development Levy)とは、シンガポールで従業員を雇用し給与を支払う会社等に課せられる負担金で、技能開発税もしくは技能開発基金とも呼ばれます。
(1) 目的、負担、支払期限
シンガポール人等のスキルアップのため、無料もしくは割安な研修を行うための財源として、監督官庁(SSG:SkillsFuture Singapore)が会社等の雇用主から徴収しているものです。
雇用主である会社等は、毎月14日までに前月のSDLを監督官庁に支払う義務があります。会社負担ですので従業員に支払う給与から控除する必要はありませんが、シンガポール人等のみならず、日本人などの外国人従業員や、パートタイムの従業員への給与もSDL計算の対象となるため(一定要件を満たす学生などは除く)注意が必要です。
(2) 計算方法
各従業員の月額報酬(その他給付も含める)の0.25%がSDL要支払金額とされます。
ただし、一人あたりの計算金額は最低でS$2(つまり月額給与S$800以下の従業員に対しては一律S$2)、最高でS$11.25(つまり月額給与S$4,500以上の従業員に対しては一律S$11.25)とされています。
例)
月額給与S$500の従業員:S$2.00
月額給与S$3,000の従業員:S$7.50
月額給与S$8,000の従業員:S$11.25
会社納付金額合計:S$20.75
(3) 支払い方法
通常は、シンガポール人等のCPFの支払いとともにCPFB(Central Provident Fund Board)に支払うこととなりますが、日本人などの「CPF納付義務のない外国人従業員」のみを雇用している会社等の場合は、SDLの監督官庁(SSG:SkillsFuture Singapore)に直接納付します。
CPFと共に申告納付する場合は通常のCPF申告画面から、監督官庁に直接納付する場合は監督官庁のウェブサイトから計算、納付手続きを行います。
なお、CPFと共に申告納付する場合の「CPF納付義務のない外国人従業員」分のSDLは、CPF申告する際に自動計算されず手入力する必要があるため注意が必要です。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。