連結納税(グループリリーフ)
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
一般的に連結納税とは、グループ内の複数社をまとめて、つまりグループ単位で法人税申告することによりグループ全体での法人税最適化を実現する制度をいいます。例えば、グループ内で赤字の会社と黒字の会社が存在する場合、通常の(会社単位での)法人税申告によると黒字会社の法人税は黒字会社のみの利益から算定される一方で、赤字会社の損失が黒字会社の利益から控除されるものではないため、グループ全体でみると税効率が悪化することがありますが、これをグループ全体の(黒字企業の利益と赤字企業の損失で相殺しあった後の)利益をもとに法人税申告を行うものといえます。
日本では、上記のようなグループ単位で法人税申告する連結納税が採用されていますが、シンガポールでは、日本の連結納税とは異なるグループリリーフと呼ばれる制度が採用されています。
概要
グループリリーフとは、グループ会社間で税務上の欠損金の振り替えを認める制度で、日本の連結納税とは異なり、あくまで会社単位での法人税申告・課税となります。グループリリーフによりグループ内の他社(黒字会社)へ振り替えができるのは下記の3つとされています。いずれも、同一期間での振り替えのみが対象とされ、過去に発生した欠損等は対象外となります。
- 同一賦課年度かつ同一期間における税務上の未使用減価償却費
- 同一賦課年度かつ同一期間における税務上の未使用欠損金
- 同一賦課年度かつ同一期間における未使用寄附金
適用条件
- 双方ともシンガポール法人であること
- 双方で決算日が同じであること
- 決算日時点で普通株式75%以上の保有関係のある親子会社間、もしくは兄弟会社間であること
- 普通株式75%以上の保有関係が持続した期間のみを対象とすること
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。