個人所得税を会社で負担する場合の所得税の取り扱い
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
シンガポールの個人所得税は前年(例えば2018年1月から12月)の所得を翌年の申告期日(例えば2019年4月18日)までに申告し、その後納税することになりますが、会社が従業員の個人所得税を負担する場合は当該金額も会社から支給された所得であるとして課税対象となります。
負担方法として以下の2つのケースが想定されますが、それぞれ個人所得税の取り扱いが異なるため注意が必要です。
会社が直接個人所得税を負担する方式(Tax on Tax)
所得税を会社負担としている日系企業の多くで採用されている方式で、タックスオンタックスやグロスアップとも呼ばれます。
この場合、本来の所得税部分が(会社から補填されたものとして)所得に含まれ、この含まれた所得分についてさらに所得税が課され、その所得税をさらに会社が補填して所得税が課され、、といった具合に、複利計算的な計算方法により所得税が課税されます。
全額を会社で負担する場合のみならず、部分的に所得税を負担する場合にも当該負担部分が対象となります。
個人所得税として納税した金額を別途賞与等の名目で補填する方式(Tax Reimbursement)
この場合、実際に賞与等の名目で支給されたタイミングでの所得とされます。
例えば、2018年の所得にかかる所得税を2019年に納税し、同額を2019年に賞与等の名目で従業員に支給する場合、当該金額は2019年の賞与として所得に含まれますので、2020年前半に行う所得税申告で賞与等に含めて所得税申告するということになります。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。