財務諸表の作成及びACRAへの年次報告期限
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
財務諸表の作成期限
決算日の到来後、シンガポール法人は原則として、所定の会計基準に基づく財務諸表(≒決算書)を作成し、年次株主総会を行い、ACRAへの年次報告を行わなければなりません。
財務諸表は年次株主総会の開催14日前までに作成が必要とされているため、年次株主総会の期限を考慮して財務諸表の作成期限が決められることになります。
年次株主総会の開催期限
年次株主総会の開催期限について、遵守しなければならない規定は下記の通りです。全てに抵触しない最も遅い日が年次総会の開催期限ということになります。
- 年次株主総会は、法人設立後、第1期決算期に関しては法人設立から18 か月以内、第2期決算期以降は前回の株主総会から15ケ月以内に開催しなければなりません
- 年次株主総会は、暦年ベースで少なくとも必ず年に1回は開催しなければなりません
- 年次株主総会は、決算日から6 ケ月以内(上場会社については4ヶ月以内)に開催しなければなりません(注)
(注)より正確には、年次株主総会に提出される財務諸表の決算日は、年次株主総会開催から6か月を超えて古くてはいけないとされています。
ACRAへの年次報告の期限
原則として、シンガポール法人は年次株主総会から30日以内にACRAへ年次報告を行わなければなりません。上述の通り、年次株主総会の開催期限は一般的に決算日から6か月となるため、年次報告の期限の目安としては決算日から約7ケ月、ということになります。
支店の場合
シンガポール支店の場合は現地法人と異なり,支店の監査済決算書に加えて全社の英文財務諸表もACRAへの年次報告の対象となっています。
シンガポール支店のACRAへの年次報告期限は、法人(=本店)の定時株主総会から60日とされています。日本法人の場合、決算日から3 ケ月が定時株主総会の期限と日本の会社法で定められていることから、通常のケースでは決算日(日本本店とシンガポール支店は同日)から約5 ケ月がシンガポール支店の年次報告期限、ということになります。
遅延ペナルティー
年次株主総会が期限までに開催できなかった場合、ACRAへの年次報告を期限までに行わなかった場合は法人に対してそれぞれの違反ごとに300シンガポールドルの遅延金が科せられます。一方、年次株主総会に提出された財務諸表の決算日が年次株主総会開催から6か月を超えて古い場合は、取締役に対して300シンガポールドルの遅延金が科せられます。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。