GST登録前に発生した費用
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
シンガポールでは、原則としてGST登録しなければ売上インボイスにGSTを賦課することも、支払ったGSTについていわゆる仕入税額控除をとることもできません。しかしながら、以下のケースに該当する場合は、GST登録前に発生した費用に関するGSTであっても仕入税額控除をとることが可能です。
物品仕入について
下記全ての条件を満たす場合には、GST登録前に発生した費用に関するGSTであっても仕入税額控除をとることが可能です。
- 会社(GST登録企業となるその会社、以下同様)の課税売上を捻出するために発生したものであること
- GST登録日前6か月以内に発生したもので、かつGST登録日にまだその物品を保有していること
- GST登録日前6か月よりも前に発生したもので、かつGST登録日にまだその物品が消費等されていないこと
- その他、GST控除不可の費用等(プライベートの費用など)ではないこと
物品以外のサービス(賃料、水道光熱費、業者費用など)について
下記全ての条件を満たす場合には、GST登録前に発生した費用に関するGSTであっても仕入税額控除をとることが可能です。
- 会社の課税売上を捻出するために発生した費用であること
- GST登録日前6か月以内に発生した費用であること
- 当該費用がGST登録日前の会社の売上に直接的に関係しないこと
- その他、仕入税額控除不可の費用等(プライベートの費用など)ではないこと
法人設立前の費用
法人説前に、株主等が会社のために立替え払いをした費用のGSTなども対象にすることができます。そのためには、上記の要件の他、会社のために発生したことが明らかであることや、他の仕入税額控除に使われていないこと等の一定の要件充足と、IRASの事前承認が必要となります。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。