日本の出国税(国外転出時課税)の概要
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
日本居住者が日本を出てシンガポール居住者となる場合に問題となる税務の取り扱いの一つに「出国税(国外転出時課税)」があります。
出国税の対象者
下記、いずれにも該当する日本の居住者が、いわゆる出国税の対象者となります。
- 所有等している『対象資産』の価額の合計が1億円以上であること
- 原則として国外転出をする日前10年以内において国内に5年を超えて住所又は居所を有していること
つまり、対象資産を1億円以上保有している日本の居住者が対象となる、といえます。
対象資産
以下が「対象資産」とされ、これらの資産を1億円以上保有するといわゆる出国税の対象となります。
- 有価証券(株式や投資信託など※)
- 匿名組合契約の出資の持分
- 未決済の信用取引・発行日取引(発行日取引とは有価証券が発行される前にその有価証券の売買を行う取引であつて財務省令で定める取引をいう。)
- 未決済のデリバティブ取引(先物取引、オプション取引など)
*現行法においては仮想通貨は対象資産に含まれないと解されています。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。