休眠会社
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
一般的に休眠会社とは、長期間企業活動をしていない会社のことをいいますが、下記のように、休眠状態であることにより一定のコンプライアンス義務が免除されることがあります。
休眠会社
会社法上、休眠会社(Dormant company)とは、「会計取引が一切発生しない会社」とされています。会計取引には、定期預金利息を得るといった零細な取引を含み、これらがある場合は休眠要件を満たしませんが、カンパニーセクレタリや監査人の選任のほか、登記住所の維持や会計帳簿の保存、その他の法令上の罰金や手数料などについては会計取引とはされません。休眠会社となる場合、会計監査が免除となるとともに、一定の要件をもと株主総会の開催義務が免除されています。
適格休眠会社
上記の休眠会社のうち、一定の小規模要件を満たす場合の休眠会社を適格休眠会社(Dormant relevant company)と呼び、決算書の作成自体が免除されています。
年次報告(Annual Return)
休眠会社の場合であっても年次報告の義務は免除されません。ただし、適格休眠会社の場合など一定の場合には簡易様式での年次報告(Simplified Annual Returns)が認められています。
法人税
対象となる賦課年度において営業を行わず、所得が発生せず、かつ投資も保有していない場合は当該対象期間の賦課年度において休眠とされ、休眠会社用の簡易法人税申告で足りるとされます。また、今後2年間の事業再開の意図がない、GST登録を取り下げるなどの要件のもと、法人税申告の免除を申請をすることが可能です。ただし、ACRAに登記をしているシンガポール支店には申告免除は認められていません。
GST
GST登録をしている会社が休眠状態となった場合、GST登録を取り下げることになります。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。