租税条約等に基づく情報交換の概要
公認会計士・税理士 萱場 玄
租税条約等に基づく情報交換とは
あるニ国間において、互いの納税者に関する情報について、国家間で情報を共有する仕組みのことをいいます。国際的な租税回避が横行する近年において、各国の税務当局が連携を強めていることが背景にあります。この情報交換には以下の3つの形があります。
(1)要請に基づく情報交換
それぞれの税務調査において、国内で得られる情報だけでは不十分である場合に、相手国の税務当局に情報提供を求めるものです。例えば日本国内の税務調査でシンガポールの情報が必要な場合に、シンガポール税務当局(IRAS)に情報提供を求めるもの、ということになります。
(2)自発的情報交換
国内にて得られた情報が、外国税務当局にとって有益な情報であると考えられる場合に、自発的に情報を提供するものです。例えば日本国内で得られた情報がシンガポール税務当局(IRAS)にとって有益であると判断される場合に能動的に日本側からシンガポール側へ情報提供するもの、ということになります。
(3)自動的情報交換
法定調書から得た非居住者などへの支払い(利子や配当など)に関わる情報を、支払い国の税務当局から受け取る国の税務当局へまとめて提供されるものです。例えばシンガポール居住者が日本法人から受けた配当についての源泉税情報を日本からシンガポールへ共有するもの、ということになります。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。