法人税の課税対象範囲
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
シンガポール法人税では、以下の所得について法人税が課税対象とされています。
①シンガポール国内源泉所得(シンガポールで生じた所得または稼得された所得)
②シンガポール国外源泉所得(国内源泉所得以外の所得)のうちシンガポールで受領した所得
(注)「受領」には次のものを含みます。
- 送金(シンガポール国外からシンガポールへの送金)
- 相殺(シンガポール国内での事業活動に関連して発生した負債との相殺や、国外から購入しシンガポール国内に持ち込んだ動産(商品等)の支払いへの充当など)
例えば,シンガポール国外の銀行口座から発生する利息収入は国外源泉所得となり,シンガポールへ送金しない限りはシンガポールでは課税対象外です。また、これらの国外源泉所得をシンガポールに送金等せずにシンガポール国外で再投資した場合はその時点ではシンガポール国内への送金等とはされませんので、その時点ではまだ課税されないということになります。
また、政策的配慮その他の理由により、下記のような所得については法人税の課税対象外とされています。
- 固定資産の売却等によるキャピタルゲイン及び派生する為替差益
- 売却の直前まで連続して24か月以上&20%以上保有の株式の譲渡益で一定のもの
- 特定の海運業に関する特定の所得
なお、国外源泉所得のうち、配当、海外支店の事業所得、サービス所得については、シンガポールへ送金等を行ったとしても、最高法人税率が15%の国からの配当であり課税されていることなどの一定の条件のもと課税対象外とされています。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。