Overseas Networks & Expertise Pass(ONE Pass)
最終更新日:2026年7月10日
公認会計士 萱場 玄
シンガポールには外国人高度人材向けの様々な就労ビザがありますが、その中でも最も自由度が高いビザが Overseas Networks & Expertise Pass(ONE Pass) です。
通常のEmployment Pass(EP)は特定の会社で働くことを前提としていますが、ONE Passは会社に縛られません。
世界中の優秀な人材をシンガポールへ呼び込むため、2023年から導入された比較的新しい制度であり、年収や実績など厳しい要件はありますが、条件を満たす方にとってはシンガポールで最も魅力的な就労ビザといえるでしょう
特徴
ONE Passには以下のような特徴があります。
- 有効期間は最長5年(更新可能)
- 雇用主を変更してもビザの再申請不要
- 複数企業で同時に勤務可能
- 自身で会社を設立・経営可能
- 配偶者はLetter of Consent(LOC)により就労可能
- 外国人雇用枠(Quota)やForeign Worker Levyの対象外
- COMPASSや求人広告(Fair Consideration Framework)の対象外
これらは通常のEmployment Passにはない大きなメリットです。
申請条件
以下のとおり、所得水準が高い、もしくは一芸に秀でている場合に申請可能です。
・所得水準要件
以下のいずれかに該当する場合に申請が可能です。
- シンガポール企業から、申請前12か月間、月額固定給与S$30,000以上を継続して受給していること(過去基準:ローカル企業)
- 時価総額USD500万もしくは年間売上USD200万以上のシンガポール国外企業から申請前12か月、月額固定給与S$30,000相当以上を継続して受給していること(過去基準:海外企業)
- シンガポール企業から月額S$30,000以上の給与にて雇用が確定していること(未来基準)
・一芸要件
スポーツ・芸術・学術研究などで世界的な実績などで世界的な実績がある場合は(給与要件を満たさなくても)個別審査により取得できる可能性があります。
その他のビザとの違い
Employment Pass(EP)との違い
EPは「会社に紐づくビザ」であるのに対し、ONE Passは「個人に紐づくビザ」である点が最大の違いです。
| 項目 | ONE Pass | Employment Pass |
|---|---|---|
| 雇用主変更 | 再申請不要 | 新規申請必要 |
| 複数社勤務 | ○ | × |
| 自分で会社経営 | ○ | 原則制限あり |
| 有効期間 | 最大5年 | 通常2~3年 |
| COMPASS | 対象外 | 対象 |
| FCF求人広告 | 対象外 | 原則必要 |
Personalised Employment Pass(PEP)との違い
PEPも転職時にビザの再申請が不要という点では似ていますが、PEPは3年間のみで更新不可、起業や会社経営には利用できない、一定期間失業すると失効という点で大きく違います。ONE Passはプロ経営者などの大企業の役員クラス、PEPは高所得のフリーランサーというニュアンスだと分かりやすいでしょうか。
EntrePassとの違い
EntrePassは、スタートアップ創業、イノベーション、VC投資などを対象とした起業家向けビザですが、ONE Passと違い、株式保有要件やVCからの出資や革新的事業内容であること、資金調達実績や企業売却経験など、実際に起業家であることが要求されます。更新の際も一定金額の事業費用を支出していること等も要件となり、新規申請時も更新時も真に起業をし続けていることが必要です。
ある程度起業家としての実績があり、現役でスタートアップを経営していく場合はEntrePassも候補、そうでない高所得者の場合はONE Passといった違いといえそうです。
更新要件
ONE Passは5年ごとに更新可能ですが、以下のいずれかを満たす必要があります。
- シンガポールで過去5年間平均月額S$30,000以上の給与を得ていた
- シンガポール法人を経営し、一定条件以上のローカル従業員を雇用している
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。