利息費用の損金不算入
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
法人税法上、損金として認められる費用は、原則として所得を獲得するために発生した費用に限られます。利息費用についてもこの原則が適用され、下記のような課税所得を獲得するために発生したと認められない利息費用は損金不算入とされます。
- 賃料収入を生まない長期の不動産投資のために調達した有利子負債に対する利息費用
- 配当収入を生まない出資等のために調達した有利子負債に対する利息費用
- 関連者当事者や事業上の取引関係のない第三者への無利息貸付のために調達した有利子負債に対する利息費用
- 監督官庁への支払い遅延などによる罰則としての遅延利息
また、ダイレクターへの無利息貸付のために調達した有利子負債に対する利息費用は、(無利息貸付の便益はダイレクターの所得として個人所得税の課税対象となるため)損金算入可能とされています。
なお、有利子負債の資金使途は複数要素が混在している場合が多く、一般的な事業会社においては、利息費用を「所得を獲得するために要する資産」と「それ以外の資産」とで按分計算することで損金不算入額を算定するのが実務上一般的です。ただし、有利子負債の資金使途が特定の取引に明確に結び付けられる場合には、按分計算ではなく個別の取引ごとに損金算入可否を判断することも可能とされています。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。