シンガポール居住者が日本で得た所得
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
シンガポール居住者(かつ日本で非居住者)の個人が日本で得る収入については、下記の通り、「どこで得た所得なのか(所得の源泉地)」と「どういった内容の所得なのか(所得区分)」によって、取り扱いが異なります。
日本で保有している不動産の賃料収入
日本の物件から得る賃料収入については「日本で得た所得」とされます。
この場合、シンガポール居住者であっても日本で個人所得税の申告納税が必要です。また、場合によっては賃料の回収の際に(支払者が)源泉税を控除し納税する必要があります。シンガポールでは所得税は課せられません。
日本法人の株主としての配当収入
日本法人からの配当収入については「日本で得た所得」とされます。
この場合、配当を支払う際に、配当支払元の日本法人が源泉税を控除し納税する必要がありますが、シンガポールでは所得税は課せられません。
日本法人からの役員報酬
役員という資格により報酬を受ける役員報酬については、基本的に「日本で得た所得」とされます。日本法人から役員報酬を受ける場合、役員報酬支払元の日本法人が源泉税を控除し納税する必要がありますが、シンガポールでは所得税は課せられません。
日本法人の株式譲渡益
日本法人の株式譲渡による売却益は、「日本で得た所得」とされます。
日本法人の株式売却益についての日本での課税関係は、売却した持ち分比率等によって課税関係が異なりますが、シンガポールで所得税は課せられません。
留意点
源泉税率等については日星租税条約等の考慮が必要となり、また、日本居住者がシンガポールで得た所得(本件と逆のケース)の場合、日星以外の他国の場合、法人(シンガポール居住法人が日本で得た所得)の場合は取り扱いが大きく異なるため注意が必要です。
なお、租税の取り扱いは個別のケースごとに異なることが多く、適切な専門家のアドバイスが推奨されます。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。