配当金に関する税務
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
(1) 配当金の支払いに対する源泉税
シンガポールはワンティア・システム(配当の源資となる税引き後利益はすでに法人税が課税されているためそれ以上課税しないとする制度)を採用しているため,配当金の支払いについて課税されません。
(2) 配当金の受け取りに対する法人税
シンガポール国内の投資先(子会社含む、以下同じ)からの配当金については,上述の通りワンテイア・システムに基づき課税されません。
また、シンガポール国外の投資先からの配当金についても国外源泉所得免税制度により課税対象外となる場合があります。
シンガポール国外の投資先からの配当について国外源泉所得免税を受ける要件は,以下のとおりです。
- 当該所得がシンガポールに送金された年における当該外国の最高法人税率が15%以上であること
- 当該所得が当該外国において課税(最高税率で課税されているかどうかは問わない)されていること
- 課税対象外にすることが,当該シンガポール法人にとって有利に働くこと
国外源泉所得免税の要件を満たさない場合,あるいは要件は満たすものの適用を受けない場合は、外国税額控除(FTC: Foreign Tax Credit)を受けることができます。
なお、上記はあくまでシンガポール国内の法人税の規定であり、例えばシンガポール国外の投資先から受ける配当にかかる当該外国での課税関係(日本法人から受ける配当にかかる日本の源泉所得税など)については、当該外国での税法及びいわゆる租税条約の検討が必要となるため注意が必要です。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。