恒久的施設 (PE) の概要
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
日本、シンガポールに限らず、その国で課税されるか否かを判定するにあたって、とても重要な概念が「恒久的施設(PE:Permanent Establishment)」という概念です。日本に親会社等を持たないシンガポール法人であっても、日本でPEがあると認定された場合は、シンガポール法人の日本支店が日本にある場合と同じように法人税申告納税が必要とされ、日本での課税範囲が非常に広くなるため、予期せぬ課税リスクを抑えるという点においてPEの理解は重要です。
PEとは
PEは、大きく以下の3種類に分類されます。
(1) 支店等のPE
支店、出張所、事業所、事務所、工場、倉庫業者の倉庫、鉱山・採石場等天然資源を採取する場所をいいます。ただし、資産を購入したり、保管したり、事業遂行のための補助的活動をしたりする用途のみに使われる場所は含まれないとされます。「支店」もあくまでPEの一つですが、特定の「場所」に着目した概念といえます。
(2) 建設PE
建設、据付け、組立て等の建設作業等のための役務の提供で、1年を超えて行うものをいいます。特定の「長期プロジェクトの現場」に着目した概念といえます。
(3) 代理人PE
非居住者のためにその事業に関し契約を結ぶ権限のある者で、常にその権限を行使する者や在庫商品を保有しその出入庫管理を代理で行う者、あるいは注文を受けるための代理人等(代理人等が、その事業に係る業務を非居住者に対して独立して行い、かつ、通常の方法により行う場合の代理人等を除きます。)。
特定の「人」に着目した概念といえます。
租税条約
シンガポール法人が日本で何か活動をする際に気を付けなければならない日本におけるPEは日本の税法、日本法人がシンガポールで何か活動をする際に気を付けなければならないシンガポールにおけるPEはシンガポールの税法で規定されていますが、当該二か国でPEを判定する場合は、日星租税条約をもって判断することになります。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。