個人所得税の精算手続き・タックスクリアランス(IR21)
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
日本人も含めて、外国人労働者、つまりEPホルダーやLOCで労働している外国人が退社(もしくは3か月以上外国に滞在)する際には、タックスクリアランスもしくはIR21と呼ばれる退職時の所得税精算申告を退職日の1か月前までに(会社が)行う必要があります。シンガポール人や永住権保持者の場合は、退社後に外国へ移住等しない限りは基本的に不要です。
外国人の退社が確定した場合、雇用主である会社は、その後の当該外国人への給与等支払いを停止(支払留保)しなければなりません。この支払留保金額は、タックスクリアランス(IR21)の手続き完了後、数日後にIRASから通知される所得税の精算金額の支払い源資に充当されます。つまり、所得税精算金額のうち支払留保金額については会社から納税し、支払留保金額が所得税精算金額に足りない場合はその不足金額は当該外国人が直接納税することとなります。納税せずに出国しようとする場合はイミグレーションを通過できないケースがあるため注意が必要です。
なお、タックスクリアランス(IR21)は原則として退社日の1か月前までに行う必要がありますが、急な辞令など、合理的な理由の説明ができる場合はこの限りではありません。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。