LOC (Letter of Consent)の概要
公認会計士 萱場 玄
公認会計士 寺澤 拓磨
大森 裕之
LOC (Letter of Consent)とは、本来働くためのビザではないビザ(DP、LTVPなど)を保有している外国人が働くための労働許可をいいます。特に、EPの配偶者がDPを保有してシンガポールに滞在している場合、DPの保有だけでは働くことはできませんが、このLOCを取得することで働くことができます(S Pass配偶者のDP等は除く)。
申請要件と期限
有効期限が3か月以上残存しているLTVP、LTVP+及びDPホルダー(Sパスの配偶者等を除く)のみが取得することができます。
LOCの申請手続きもEP等と同様、雇用主である会社等もしくは人材紹介業ライセンスを有する業者により行いますが、内定を得た「特定の職」に就くことについて個別に申請、審査が行われるため、まずは職を見つけ、雇用主である会社等と合意してからの申請となります。
一度取得したLOCの有効期限は、雇用主によってLOCがキャンセルされるか、LOC自体の有効期限の終了、もしくは裏付けとなるDP等の有効期限が切れるまでとなっています。なお、配偶者のEPが失効するとDPも自動的に失効しますので、その場合もLOCも失効することになります。
特徴
LOCの大きな特徴として、「最低給与が無い」「S Passのような枠が無い」といったことが挙げられます。例えば月額1,000ドル程度の給料でも日本人が雇用できることになりますので、他社の日本人駐在員(EPホルダー)の配偶者であるDPホルダーをパートタイマーとして雇用したいという日系企業は多いといえます。
2021年5月1日改正
2021年5月1日からLOCの制度が大幅に改正され、上記の規定はICA管轄のLTVP保持者(シンガポール人もしくは永住権保持者の配偶者、もしくはシンガポール人もしくは永住権保持者の21歳未満の未婚の子供)のみに限られることになりました。
結果、DPホルダーは原則として、シンガポール人もしくは永住権保持者の雇用を生む事業主(個人事業主やシンガポール法人の持ち株比率30%以上の株主兼ダイレクターなど)のみに限りLOCが許されることとなり、事実上、DPホルダーの就労が不可となりました。
(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。