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タックスヘイブン対策税制改正?

2016.09.28

日本の税金や国際税務など

どうやらタックスヘイブン対策税制のいわゆるトリガー税率が無くなり、税率に関わらず全ての国の実体がないペーパー子会社の利益に課税、という税制改正が検討されているようです。

http://this.kiji.is/153454158286979075?c=113147194022725109

 

要するに、税率が低い国ではなくても、実体がない海外子会社の利益はどの国にあっても親会社の利益とみなして課税、ということになる可能性があるということになります。米国をはじめとする税率の比較的高い先進国の子会社についてはあまり問題なさそうにも思えますが、税率20%そこそこ、特に税率20%代前半のあたりのミクロネシアやスイス、韓国やオランダあたりの節税目的のペーパーカンパニーは影響が大きいかもしれません。僅かな税率差で節税目的の法人をわざわざ設立するのか、という疑問はありますが、取引規模の大きい中間持株会社なんかだと該当するペーパカンパニーは多そうです。

 

 

別途、税法の条文を作るというよりは、おそらくトリガー税率部分の条文を撤廃ということになるでしょうから、そうなると適用除外要件はそのままペーパーカンパニーの認定基準として残る気がします。となると、親会社が子会社を管理支配してはいけないという管理支配基準も残り、日本の親会社が海外子会社を管理支配すると、実体があろうがなかろうが(正確にいうと管理支配すると実体が無いとされる)ペーパーカンパニー扱いされる可能性がありそうです。

 

 

そうなると例えば、これから世界を攻めるという日本のIT企業がいて、世界中の子会社の決算をシェアードサービス化させてどこかに集中させて本社一元管理し、取締役会も株主総会もウェブ会議で完結、といった運用の場合は全世界の全ての子会社の利益が親会社の利益と看做されて課税、という可能性すらありそうです。

 


実務的には、現行ルールだと適用除外を充たしても別表で適用除外である旨の申告が必要ですが、トリガー税率が撤廃されると現地の税率に関わらず全ての海外子会社について別表添付という可能性がありますので、現行の「原則適用、適用除外は例外」という扱いから、「原則不適用、例外的に適用」という扱いに変えても良い気がします(全ての海外子会社を把握したいという意図からして難しそうですが)。

 


あとは、現行の適用除外の要件、つまりはペーパー会社「非」認定基準をもう少し緩くしてほしいところです。特に、親会社が子会社を管理支配しているとパーパーカンパニー扱いされるという「管理支配基準」は同時に撤廃してもよいかと個人的には思います。

 

 

この改正が実現すると、「タックスヘイブン対策税制」という言葉も無くなりそうですね。名づけるとすれば、、、「海外子会社対策税制」、もしくは「海外ペーパーカンパニー対策税制」といったところでしょうか。

 

 

ちなみにこの税制改正、まだ決まったわけではありませんし、上述の展開は個人的予想ですので念のため。

 

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