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燃費の悪いポンコツ車とシンガポールでの起業

2015.09.01

ビジネス会計人

おはようございます。

 

 

「シンガポールで起業」

 

 

こう聞くと、とってもカッコよく聞こえるかもしれません。タックスヘイブンで税金安くて有利だね!海外で起業なんてオシャレ!、そう思うかもしれません。

 

 

私もシンガポールで起業した日本人の一人ですが、正直、、実情はそんな生易しいものではありません。

 

 

現地で採用した人材は基本的に残業はしません(日系企業の駐在員だけオフィスに取り残されて残業というのはよくある光景)ので、たった7時間程度の勤務時間内に成果を出させなければなりません。しかも朝の出勤時間は遅れてくることも多々あり、退社時間はフライングで帰る社員もちらほら。有給休暇はきっちり全日程消化してきますし、連休の前後にくっつけて何故か体調を崩して病欠をします。さらに、それらのゆとり労働環境を禁じると労働環境が悪いとされ社員は辞めていきます。それでいて月給は日本の人件費と同等かそれ以上。3年勤務するとベテランといわれるほどの回転の早い人材市場で、人材紹介会社を使って採用すると50万円から100万円持っていかれます。

 

 

オフィスの家賃も、イメージ的には東京の1.5倍です(感覚)。しかも住居の家賃も教育費も普通に外食するのも(シンガポール在住の他の日本人と同様の生活をするのであれば)、東京の1.5倍から2倍かかりますので、家族持ちの社員(特に配偶者が働いていない場合)を雇用する場合、生活するのに必要な給料はさらに跳ね上がります。

 

 

しかも使用言語は我々が使用する母語「日本語」ではなく英語です。シンガポール人への指示も報告も人事評価も営業も事務も、政府とのやりとりも調べ事も全てが英語です。帰国子女ならまだしも普通の日本人の場合、完全に100%伝えることも理解することも難しいといえます。

 

 

いわば超燃費の悪いポンコツ車に乗ってガソリンをジャバジャバ流しながらガツガツ走り続けなければならないわけで、流すガソリン以上のガソリンを給油して、絶えることなく果実を摘み取り、一刻も早く獲物を狩らなければ、旅は中断、立ち行かなくなります。

 

cars

 

シンガポールで起業というと、涼しく感じるかもしれませんが、そういった環境で死ぬ気で頑張っている日本人が現地には大勢います。やれ世界を変えるサービスだ、やれイノベーションだ、やれ社会貢献だと吠える前に、生き残ることがとても厳しい環境です。

 

 

弊社のサービス内容の多くは経理代行や各種事務作業などの「車を安定走行させるサポート作業」です。誰かがやらなければならないとはいえ、お客様がガソリンをジャブジャブ流しながら走っているところに自分が追加でお客様のガソリンを消費しているわけです。

 

 

世の中は役割分担であり、「果実を摘み獲物を狩る」役割は自分の役割ではないかもしれません。しかしこれをなんとか乗り越え、お客様が果実を摘みやすく、獲物を見つけやすくなるようななにかしらの武器を提供して差し上げられるよう、仕組みを構築していくのも重要な使命なんだと思うわけです。

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