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またまた給与キックバックで罰金

2015.08.29

ビザ(EP等)など労務関連

おはようございます。
最近このニュースが多いですが、また給与キックバックで罰金です。

【写真は昨日撮った写真。記事と関係なし】

写真 28-8-15 5 00 14 pm

 

シンガポールは狭い国で、資源もなく労働力となる人口も少なかったため、その建国の歴史において重要だったのは「外国人労働者の確保」です。それは建築現場や家事手伝いのメイドのような低所得者の外国人のみならず、高給取りの高度専門家や起業家なども世界中から呼び寄せ、この国の50年間の急激な繁栄を実現させました。

 

 

こうして所得の大小に関わらず広く外国人を受け入れてきたシンガポールですが、人が増えすぎたため、ここ数年の外国人受け入れ方針は「シンガポール人では補えないようなノウハウを持つ高所得者」と「シンガポール人がやりたくない低賃金の労働者」という二極化に進んでいます。ビザの種類でいうと前者がEPカテゴリで後者がWPですが、簡単にいうと、「中間所得層程度の外国人は受け入れない方向」になっています。

 

そこで困るのがレストランや美容院など、「中の下」ぐらいの給与のスタッフを抱える店舗ビジネスです。

 

かなり給与を出さないと「高所得外国人」とされないためビザが出ません。そこで外国人のビザを申請する際に高めの給与を設定しておいて、実際には(一度高い給与を払うものの)現金など様々な形式でキックバックをさせて実質の給与は低く抑えるというビザ不正申請が横行しています。

 

実際にはこういった不正キックバックは労使双方で合意されて行われます。つまり、働きたくてもビザが出ない、雇いたくてもビザが出ない、ということなのでお互いの意思でこっそりキックバックするわけです。

 

新興国から来る低賃金労働者も同様です。つまり、自国で働くと月に100~200ドルというような給与のところ、シンガポールなら月に500ドル~1,000ドル稼げるし安全な国だしということで、「出稼ぎ先としてはオイシイ」わけで、労使で合意してキックバックが行われます。しかしながら、新興国からの低賃金労働者の場合は自国に働く選択肢が少ないこともあって、雇用主側が強い傾向にあり、オイシイ出稼ぎ職を失いたくない労働者は雇用主の「いいなり」にならざるを得ないケースが多いようです。

 

 

前振りが長くなりましたが今回のケースはこの「いいなり」のケースのようです。

 

 

MOMから罰金を言い渡されたのは二人の兄弟。共に会社を経営し、兄は建設業界のWP申請代行業者、弟は人材紹介会社。彼らのお客様である建設業の会社のとある担当者から悪巧みを持ち掛けられそれに便乗。建設現場で働くWPの外国人労働者がWP更新する際に、労働者達からキックバック(というか雇用主と結託した悪徳請求)を要求。総額で418,000ドル(4,000万円弱ぐらい)のキックバックを労働者達から直接受け取ったとのこと。

 

この不正受給のキックバックの労働者への返金に加え、MOMから課された罰金は兄弟それぞれ180,000ドル(1,500万円ぐらい)。そして悪巧みを持ち掛けた建設業の担当者はいまウォンテッド中。

 

外国人(特に日本人)が雇えずに困っているという生の声も多く聞きますので、個人的には労使双方で合意しているならビザ出してやりゃーいいじゃんとか思いますが、この国の物価に耐えられない所得だと消費活動もままならないし素行も悪化するし交通機関も混むし、シンガポールという国なりの治安や経済力、快適な生活を保つためには仕方ないのかもしれませんね。

 

元記事はこちら

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