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シンガポールの移転価格税制

2015.03.17

シンガポールの税金(法人税、GST、個人所得税、優遇税制など)

シンガポールでは、今年1月に、移転価格税制についての新しいガイドラインを公布しています。

 

 

まずは簡単におさらい。

 
移転価格税制とは、例えば日本のような高税率の国の親会社から、シンガポールのような低税率の国の子会社に不当に高額な対価を払って、高税率の日本の利益を少なくして低税率のシンガポールの利益を増やすことで、グループ全体の法人税を下げるような取引について、「他人と取引しても同じような価格になるならOKだけど、それ以上にグループ間で利益を操作するような価格はダメです」という税制で、特に税収を他国に持っていかれる側の高税率の国で問題になる税制です。

 

上記のような趣旨の税制なので、低税率のシンガポールは基本、逃げられる側(利益/税収が減る)ではなく逃げて来られる側(利益/税収が増える)の国なので、あまり力を入れていなかったところ、日本のような高税率の国が移転価格税制の税務調査を必要以上にガリガリとやるため、企業側がウンザリして必要以上に高税率の国に利益を戻し始めているようで、ようやくシンガポールも整備に乗り出したというわけです。

 

ちなみにこの国のスタイルとして、こういった新しい領域の議論については一から自国で議論を練り上げることは労力と費用の無駄なので、「他国の良い事例を多少修正しながら転用する」のが十八番です。今回のガイドラインも、他国で多くのガイドラインが出ている現状でベストなガイドラインに仕上げてきているのではないかと思います(予想w)。

 

ガイドラインでは、移転価格の考え方そのものの整理や文書化の要件拡大に加え、法人税申告までの文書化の必要性や罰則の検討が謳われています。

 

今の時代、インターネットや国際物流インフラの発展に伴い、企業グループが容易に国際取引を行うことができるようになってきています。そんななか、移転価格税制は企業側もあまりノウハウがないところで「つつけば税金が搾り取れる」領域であり、最近の日本では大企業だけでなくとても小さい企業のグループ内取引まで調査されてます。実際、税務署の担当官のOJT目的で小さい企業までガシガシと調査されているようで、我々納税者側としてはとても頭が痛い領域です。

 

 

原文こちら

 

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