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シンガポール入門SINGAPORE INFO

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GST の概要と日本の消費税との違い

公認会計士  萱場  玄

公認会計士  寺澤 拓磨

大森 裕之

日本の消費税、欧州等のVATに該当する間接税として、シンガポールにはGoods and Service Tax(GST)があります。大枠としては、日本の消費税と同様、売上に付加して顧客から預かったGSTから、仕入&費用に賦課されて業者へ支払ったGSTを控除して、預かったGSTの純額を納めるもので、「消費者が負担する税金を業者が代わりに納める」という間接税の一種です。

 以下、日本の消費税との違いを中心に概要を見ていきます。

アカウント方式とインボイス方式

日本の消費税とシンガポールのGSTとの違いの多くはこのアカウント方式とインボイス方式の違いによるものです。日本の消費税の制度はアカウント方式(請求書等保存方式)と呼ばれ、取引相手側からどのような請求がされどのように支払ったとしても、(例外を除き)そこに消費税が含められているとして処理します。

一方、シンガポールのGSTはインボイス方式と呼ばれ、取引当事者が登録業者か否かによってGSTが課せられるか否かが変わります。よって、インボイス(請求書)の記載様式が決められ、規定の様式に従ったインボイスに記載されているGSTの金額のみをGSTの計算対象にするものです。

 登録制度

上記のアカウント方式とインボイス方式の違いにより、日本の消費税制度では、登録制度はなく、登録等をしなくても取引に消費税が含まれているとされますが、シンガポールのGSTでは、課税業者として登録した事業者(個人事業主や会社など)のみがその売上取引にGSTを賦課することができ、また、GST登録としていない場合はGSTを賦課してはならないということになっています。 課税業者としてGST登録するには、以下の通り、強制登録の場合と任意登録の場合があります。

  • 強制登録

過去4四半期合計で課税売上高がSGD1,000,000を超える場合と、今後12か月で課税売上高がSGD1,000,000(0%課税の輸出免税を含む、以下同様)を超えるのが確実な場合はGST登録をしなければなりません。ただし、過去4四半期で課税売上高がSGD1,000,000を超えた場合であっても、今後12か月間で超えないのが確実な理由がある場合は登録免除されることがあります。

  •  任意登録

上記、強制登録条件に該当しない場合であっても、任意で登録することができます。

 GST申告という手間を考慮してでも還付金額が大きい場合(預かるGSTより支払うGSTの方が多い輸出業者の場合や設備投資が大きい場合など)などに行うケースがありますが、任意登録を行う場合は数万ドルの保証(銀行に保証金を預けてキャッシュがホールドされる)が必要な場合があります。なお、いったん任意登録を行うとその後2年間はGST登録業者となります。

記載様式

上記の通り、インボイスに記載されているGSTのみを計算対象にするという性格から、GSTが付加されているかどうか不明瞭な記載方法を避けるため、インボイスは下記のような情報(TAX INVOICEというタイトル、社名、登録番号など)を記載しなければならないと決められています。

GST TAX INVOICE

(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。

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