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シンガポール入門SINGAPORE INFO

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CPF(Central Provident Fund)の概要

公認会計士  萱場  玄

公認会計士  寺澤 拓磨

大森 裕之

 

 

 

シンガポールにはCPF(Central Provident Fund)と呼ばれる制度があります。日本語では中央積立年金と呼ばれることもありますが、日本の厚生年金と似ているこの制度、日本の厚生年金が賦課方式(今の現役世代からの年金が今のリタイヤ世代への支払いに充当される制度)をとるのに対し、CPFは積立方式(自分が現役世代に支払った年金は積み立てとされ、将来、自分で受け取ることになる制度)である点で大きく異なります。なお、シンガポールには日本の健康保険に該当する制度はありません。

 

CPFの概要

CPFは雇用主である会社と被雇用者である従業員から,それぞれ給与の一定額を強制的に積み立てさせ,それを中央年金庁(CPFB: CPF Board)が運用し,シンガポール国民等に老後の年金として支給する制度です。従業員の毎月の給与から従業員負担分を源泉徴収し、雇用主負担分とともに雇用主である会社がCPFBに申告納付することとされています。

雇用主によりCPFBに積み立てられたCPFは、各個人ごとに一定の割合で以下の3つの口座に分けられ、預金,債権,不動産など安定的な資産に再投資されています。それぞれに最低利率や実際の利回りが決定されており、引き出すにはそれぞれの口座ごとの引き出し条件等を満たす必要があるため、実質的に国民等の老後の生活資金として機能しています。

 

・普通口座(Ordinary Account) :住宅の購入,保険,投資,教育のために使われる口座

・特別口座(Special Account):老後の年金,緊急時の支出のために使われる口座

・保険口座(Medisave Account) :医療費や特定の医療保険のために使われる口座

 

CPFに加入しなければならない者

原則として雇用主はCPFを申告納付する義務を負い,被雇用者はCPFに加入しなければなりません。

雇用主とは、個人法人を間わず従業員を雇用する者を指し,船主,シンガポール政府も含みます。一方、被雇用者とは、シンガポール国籍もしくはシンガポール永住権(PR: Permanent Resident)を有する外国人でシンガポールで締結された雇用契約に基づき労働する者をいいます。 EP (Employment Pass)ホルダー等の外国人はCPFの対象外です。

 

CPFの拠出

(i) CPFの対象となる賃金等

CPF拠出額は毎月の賃金に一定の計算式を用いて計算されます。賃金は通常賃金(Ordinary Wages)と追加賃金(Additional Wages)の2種類に分けられ、通常賃金はその月の労働の対価として支給されるもので,給与の他、残業手当. 食事手当なども含まれます。追加賃金はその月の労働の対価に限られず支給されるもので, 賞与などがこれに該当します。

 

①CPF拠出義務の対象となるもの

・交通手当(-定額を金銭で支給する場合)

・教育手当(子弟の教育資金を金銭で補助するもの)

・住宅手当(金銭で支給するもの)

・賞与(決算賞与やAWSを含む)

・有給休暇買取手当

・パートタイマーに支給する賃金

 

②CPF拠出義務の対象外となるもの

・交通費、交際費等の実費

・退職金

・外部の研修費等の補助

,住宅手当(直接家主に支払う場合)

・シンガポール国外での労働の対価

・雇用契約の無い委託先業者への報酬

・一定の場合の学生への賃金

 

(ii) CPFの拠出率

CPFの拠出率は、民間企業が雇用する55歳以下の従業員(シンガポール人もしくは永住権を有する外国人)の場合で、雇用主負担が17%,被雇用者負担が20%の合計37%となっています。

なお、雇用主である会社が民間企業か否か、被雇用者である従業員の年齢や永住権取得年、その月の賃金水準などによって拠出額の計算方法が変わります。また、通常賃金に対してはCPF拠出額の月額上限(2018年7月時点では6,000㌦)が定められており、追加賃金に対しては(通常賃金との合計額として)年額上限が定められており、これらの賃金が上限金額を超える場合は、超えた金額に対するCPFの拠出は必要ありません。

 

 

(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。最新の実務情報はシンガポール入門~最新実務編(オンライン)~にて提供しております。

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