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シンガポールの2015年予算発表

2015.02.27

シンガポールの税金(法人税、GST、個人所得税、優遇税制など)

先日、シンガポールの2015年予算がMOFより発表され、税制や補助金など各種制度の改正がありました。日本に住んでいた時は正直、ほとんど興味がなかったのですが、シンガポールに来てからというものの、政府の実行力と目的達成思考には感動すら覚えますし、外国人である自分にとって、「この国に今後も居られるか」を確認するためのチェックでもあります。
下記、私が関心のあるポイントだけですがピックアップです。

 

 

【SkillsFuture Credit(研修費用を政府が一定額まで全額出してくれる)】
新しい制度で、引き続き「ヒト」の能力開発に力を入れます。これまでもPICの6つの活動の一つとして研修費用の400%損金算入という制度がありましたが、PICを使ってもある程度自社負担する費用があるため思ったように研修受講が進まなかったんでしょう、25歳以上の「シンガポール人」はとりあえず500ドル分の研修無料ポイントを政府から与えられて会社負担無しの研修の強化が実現します。これとは別に40歳以上のシンガポール人にはMOEもしくはWDA指定の研修プログラムの90%以上を補助、と大盤振る舞いです。研修や人材育成事業者にはチャンスでもありますね。

 

 

【企業のイノベーションと国際化の後押し】
政府がシンガポールの大手金融機関とジョイントで成長中のスタートアップにメザニンローンを実行したり、シンガポール企業が国際化する際の費用の70%を政府が持ったり、200%損金算入ができる企業の国際化適格費用について、シンガポール人の人件費への適格拡大。国際化推進による法人所得の増加にかかる10%の優遇法人税制の導入など。詳細は後日発表されるようですが、このイノベーションと国際化の領域はかなり力が入っている様子です。

 

 

【交通機関整備】
世界一のチャンギ国際空港をさらに強化、国際ハブたる地位をさらに盤石にするために第5ターミナルを建設、公共交通機関(現時点ではバス、地下鉄の路線網充実でしょう)の路線のさらなる充実を目指します。やはりこの国は住みやすさ、便利さがウリの一つですから、強みをさらに強くということですね。個人的には5年後には自転車社会に移行すると思ってまして、自転車事業の方、是非お声がけください。
【去年までに導入済みのものの修正】
中間所得以下のシンガポール人の昇給について40%の補助金を政府からもらえるWCSは2年間の延長し2017年まで適用することになりましたが、2016年以降は補助割合を20%し縮小方向です。一方で費用の100%を政府からキャッシュバックしてもらえるPICボーナスはさすがに過剰だったようで廃止です。法人税の30%還付も2年間延長でYA2017年までとなりましたが、還付の上限額を従来の3万ドルから2万ドルまで下げました。

 

 

【Sパスとワークパーミットの外国人雇用税の引き上げが延期】
延期されますが、外国人雇用を絞る長期的方向性は変えないとしています。外国人労働者の流入が2011年の6万人から去年1万6千人となり大幅減少したものの、シンガポール人の能力開発の進捗が遅れていることにより、ちょっと外国人も増やさないとなあと思っているのかもしれません。

 

 

【CPFが若干変更】
CPFの積み立てについて、2016年1月から上限額を5,000ドルから6,000ドルに引き上げ、年配者のCPF積み立てレートが上昇です。CPFの雇用主負担分の補助金となるTemporary Employment Creditも2016年以降、補助金を増額します。とにもかくにも少子高齢化に悩まされているシンガポール、なんとかして高齢者に対して、(政府の追加負担無しに)自分たち自身が積み上げた資産で老後を過ごしてもらえるよう、若いうちから強制積み立てさせようという感じですね。

 

 

【個人所得税】
暦年2016年の個人所得税の累進税率が若干上がります。課税所得が16万ドル(1500万円ぐらい)超の課税所得に対して増税、課税所得が32万ドル超の最高税率は20%から22%に上昇です。ここ10年ほどで大きく税率を下げて富裕層の国際争奪戦に勝ち抜いてきたシンガポールですが、来年の総選挙を控えて票取りの意味合いもあるかもしれません。
【エンジェル税制の強化】
スタートアップに対するエンジェル投資家の優遇税制が2020年まで延長、特定の投資(SEEDS、BAS)へのエンジェル税制の拡大。ちなみにキャピタルゲイン非課税というのは株式売却益を得ることを事業としていない場合のことで、株式売却を職業にしている場合は課税されますのでその場合の優遇税制です。

 

 

【M&A優遇税制の強化】
M&Aに係る優遇税制(M&A時の損金算入の大幅増加、優遇印紙税、200%損金算入)の延長と強化、持ち分比率の適格要件緩和。この領域は政府も特に力を入れている部分で詳細は多岐に渡ります。
【適格VCファンドマネージャーの優遇税制】
適格VCファンドマネージャーに優遇法人税率5%が適用されます。狭い国のシンガポールで、場所をとらない「金融」領域は引き続き強化領域ですね。

 

 

【廃止される優遇税制など】
機械設備の海外リースに係る優遇法人税率10%が2016年1月から廃止、適格本社活動から得た所得の免税or優遇法人税率10%が2015年10月から廃止、適格知財やイノベーションに係るロイヤルティの優遇税制(詳細割愛)がYA2017年から廃止。ちょっと今の時点では趣旨は分かりません。

 

 

【ガソリン税増税】
発表日の即日の施行です。しびれますなシンガポール。

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