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資本金1ドルで法人設立してその後増資をする実務(会社設立、法人設立)

2015.10.25

会社設立(法人設立)などシンガポール進出系

シンガポールには、最低資本金制度がなく、1ドルでも1円(外国通貨もOK)でも法人設立ができますが、法人設立の際に資本金をいくら入れるか決まっていたとしても、通常は資本金1ドルで法人設立してから必要な金額まで増資する手続きをとります。
 
 

何故か?

 

 

これは基本的には業者側の理由とお客様側の理由によります。

 

 

 

結論からいいますと、

 

 

 

「資本金に該当する金額の払込みが保証できない」

 

 

 

という理由によります。

 

 

 

順を追って説明しますと、まず、払込資本金とする資本金は実際に法人所有の資産(≒預金)として存在しなければなりません。

 

 

 

ところが、法人設立をするまさにその瞬間では法人が無いので当然ながら法人名義の銀行口座もなく、株主から資本金の払い込みもできません。

 

 

 

ここまではいいですよね。資本金とする預金は実際に払い込まれなければならない。しかし法人の銀行口座がないから払い込めない。

 

 

 

 
しかし、別に会社の資産は銀行口座でなくても構いません。

 

 

 
 

例えば「現金」です。
 
 
 
 
法人が現金を持つことは当然あり得ます。コンビニのレジの中に現金がありますよね。あれは法人の現金です。
 
 
 
例えば今、手元にある100ドル紙幣が今は自分個人のものだけど、法人設立した瞬間に法人所有のものになったことにすればいい。
 
 
 
これは確かにそうです。実際に資本金1ドルで設立する時はこの概念を使います。
 
 
 
しかし例えば、資本金を1ミリオン(1億円近く)として法人設立して、この現金による所有者変更法で資本金の払込みとした場合、本当にあるの?って話になりますし、個人に何か不測の事情が起きたり、気が変わって払い込みたくなくなる、という可能性は否定できません。
 
 
 
別に本人が責任をとればよいといえばよいんですが、我々業者としては、これはちょっと飲めません。
 
 
 
何故なら、法人設立を行ったりセクレタリに就任すると、関係者として足が付くからです。つまり、「誰が法人設立を行ったか、誰がセクレタリか」というのは政府の記録として残ってますので、法人がまずいことをした時には、我々業者も法人の関係者として責任を追及される恐れがあるためです。
 
 
確かに一義的には取締役が各種責任を負うことになりますが、取締役が亡くなったり行方不明になったりした場合には、誰かが責任を負う、もしくは取締役を追跡しなければならない、もしくは資本金を払い込まなければならないということになり、形式的であっても法人の関係者となる我々業者としては、そういう面倒なこと、責任を負わされる可能性があることはできないわけです。
 
 
 
じゃあ先に、資本金にする金額を我々業者に払い込んで、その金額で払込みを証明するから初めっから増資後の大きな資本金で法人設立してよ、という御依頼は対応可能です。
 
 
 
しかし、我々業者が1ミリオンをもらってトンズラする可能性はありませんか?という話ですし、コンプラのうるさい上場企業の子会社を設立する際に、どこの誰かも分からない我々のような業者に資本金1億円の前払い、、、
 
 
 
できませんよね。
 
 
 
というような理由で、法人設立する際にはまず1ドルで設立し、銀行口座を開設してからそこに増資資金を払い込み増資するという手続きをとります。
 
 
 
1ドルは前述の「法人設立した瞬間、手元の現金が法人所有に変わった」という方法によります。これだったら何かあった時にも我々業者としても代わりに1ドルぐらい払込みまっせ、ということになるわけですね。

 

 

参考:シンガポールの会社設立(法人設立)の概要

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