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シンガポール入門SINGAPORE INFO

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キャピタルゲイン非課税

 公認会計士  萱場  玄

公認会計士  寺澤 拓磨

大森 裕之

 

 

シンガポールの法人税において、株式売却益等のキャピタルゲインは課税対象外とされますが、あくまで税務上の「キャピタルゲイン」に該当する場合に限られますので注意が必要です。例えば同じ資産(例えば株式)の売却であっても、税務上のキャピタルゲインとされる資本取引(Capital Nature)と、税務上のキャピタルゲインされない損益取引(Revenue nature)があり、損益取引とされる場合は課税対象とされます。

 

■税法上の定義

税務上の資本取引とされるいわゆるキャピタルゲインの明確な定義はなく、 ケースバイケースで判断されますので、当局(IRAS)が公表している8つの判定要素や、他国を含む判例などの限られた情報でのみ判断することとなります。

 

■8つの判定要素

(1) 対象資産

売却した資産の性質です。

流動性もしくは換金性の低い資産であればあるほど資本取引とされ易いといえるでしょう。

 

(2) 資産の保有期間

売却までの保有期間です。

保有期間が長ければ長いほど資本取引とされ易いといえるでしょう。

 

(3) 取引の頻度

類似取引がどの程度の頻度で行われているかです。

取引が反復継続もしくは頻繁に行われていない、一回のみの売却取引の場合は資本取引とされ易いといえるでしょう。

 

(4) 売却活動の有無

売却活動の有無です。

買い手を見つけるため、もしくは売却価格を高めるためのマーケティング活動を伴う場合の売却取引は損益取引とされ易いといえるでしょう。

 

(5) 売却時の状況

売却時の状況です。

強制執行機関による強制売却や資金繰り悪化による緊急の売却、債権者による競売など、資産売却を余儀なくされる状況の場合、その売却取引は資本取引とされ易いといえるでしょう。

 

(6) 資産購入時の動機.意図

資産を購入した時の動機、意図、状況です。

購入当初に事業に使用する目的(製造業における機械など)であったならば資本取引,転売が目的であったならぱその資産の売却取引は損益取引とされ易いといえるでしょう。

 

(7) 資金源

購入時の資金源です。

短期の借入金などで資金調達している場合や、会社の財務状況からして長期保有が望めない状況での購入によった場合、その資産の売却取引は損益取引とされ易いといえるでしょう。

 

(8) その他

例えば会計処理上の短期長期分類や棚卸資産と固定資産の区分、契約書や取締役決議、もしくはその他の資料の具備をもって当初の意図や状況を証明する材料となります。

 

■過去の判例(他国を含む)

フランチャイジーが突然フランチャイズ契約を破棄された際にフランチャイザーから受け取った賠償金は会社の事業活動を根底から停止させるものであるとして資本取引とされた判例、事故により営業活動停止した際の利益補填金が損益取引とされた判例、俳優の個人が受け取った一定期間の他の作品への出演不可約束金が事業活動を止めるものであるとして資本取引とされた判例、など

 

■TreeとFruitの概念

資本取引と損益取引は「樹木(Tree)から生る果実(Fruit)」に例えられます。

つまり、果実を摘んでもまだ存在し続け、再び果実を生らすような場合の「果実」と「樹木」について、一般的に果実の売却は損益取引、樹木の売却は資本取引、とされています。

 

■株式譲渡の例外

キャピタル・ゲインに該当するかどうかは,上記のような要素を総合的に検討し判断することとなります。

ただし、実務上、資本取引か損益取引かの判定は極めて困難なため、株式の譲渡については一定の例外措置が認められており、売却の直前まで連続して24か月以上&20%以上保有の株式の譲渡益は(ごく一部の例外を除き)資本取引とされています。

 

 

 

(注)上記取り扱いは出稿時点のもので最新実務と異なる場合があります。最新の実務情報はシンガポール入門~最新実務編(オンライン)~にて提供しております。

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